米大リーグのドジャースが2024年3月21日(日本時間)、違法賭博への関与を理由として、大谷翔平選手(29)の専属通訳の水原一平氏(39)を解雇したことを米メディアなどに対して明らかにした。
水原氏は、大谷が18年に日本ハムからロサンゼルス・エンゼルスに移籍した当初から通訳として、公私にわたり支えてきた。
エンゼルス時代は大谷の運転手を兼務し、グラウンドではキャッチボールの相手を務めるなど献身的にサポート。ドジャース移籍後も関係が良好とみられていた両者の間に何があったのか。
日米で選手に向き合うスタンスが根本的に異なる
J-CASTニュースは、西武ライオンズと横浜ベイスターズで通訳を務め、現在は外国人選手の代理人として日米球界に関わる篠田哲次氏(53)に、通訳の主な仕事や選手との関係性について聞いた。
ドジャースが水原氏を解雇したことに、篠田氏は「おそらく大谷選手が移籍する際の契約の中に、専属の通訳を球団が用意するという項目が入っていたのだと思います。ここが日本の球団との大きな違いです。日本の場合、通訳は球団職員として雇用されるケースが多いため、選手が移籍しても球団に残ります。水原さんがエンゼルスからドジャースに移ったようなことはありません」と解説した。
大谷の専属である水原氏と、ひとりで数人を担当する日本の通訳とは、選手に向き合うスタンスなどが根本的に異なるという。
大リーグ移籍後、大谷の移動に際して、水原氏は運転手を務めていた。これに対し、日本では球団によって方針が異なるものの、通訳が車を運転して選手を送迎することはほとんどないという。選手はタクシーやハイヤーを使用することが多く、電車で通うケースでは1人で球場まで行けるよう通訳が指導する。
もっとも、選手との「距離」は通訳によって異なる。距離が近い者と、プライベートは一切関わらないタイプがいるという。
「水原さんは大谷選手と同じメンタリティーで仕事」
西武ライオンズで7年、横浜ベイスターズで7年、計14年で40人以上の選手を担当してきた篠田氏。自身の経験から、大谷と水原さんの間には、しっかりとした仕事上の信頼関係があったと感じたという。
篠田氏は「通訳を経験した者からみると、水原さんと大谷選手の距離はかなり近いと感じていました」と指摘し、その理由を次のように述べた。
「大谷選手と水原さんの結びつきは、日本の球団の通訳と外国人選手よりも強いと思います。アメリカに行く日本人の通訳は選手の契約に紐づいているので、一心同体のような感じになります。水原さんは運転することも通訳としての仕事だというスタンスで食事などもその延長だったと思います。日本に来る外国人選手の通訳はそこまで求められていませんし、基本的に選手が球団に求めない限り、プライベートに関してサポートする必要はありませんから。水原さんは大谷選手と同じメンタリティーで仕事に取り組み、大谷選手も信頼していたと思います」
現時点で水原氏の違法賭博への関与の詳細は不明だが、地元メディア「ロサンゼルスタイムズ」(WEB版)によると、大谷の代理弁護士が、水原氏が大谷の資金を違法なブックメーカーで賭けるため「大規模な窃盗」に手を染めたと告発したという。