会社も成長し、社員も自己実現を
前川 残念ながら、日本企業で働く人たちは、世界と比してエンゲージメントがとても低い現状です。これからの働きがいのある会社とは、どうあるべきだとお考えですか。
永井さん とても難しい質問ですが、私としては、結局弊社の理念である「顧客の創造を通じて関係者全員の幸福を追求し、各個人の成長を促す」に帰結するのではないかと思います。
お客様や社会への貢献をしてお金をいただき、それを社員に還元して、社員はそのことで自己実現ができている状態ですね。
社員は、自分がなぜこの会社にいて何をしたいのかを言語化し、セルフメイキングをして、自己実現をする意識を持ちながら働いているものです。会社も成長するし、社員も自己実現するというウィンウィンの関係を築き、そのサイクルを回すという、そんな会社なのではないかと思います。
前川 今までの具体的なお話しからも、とても納得し共感します。
では最後に、御社の今後の人材育成や社員の活躍支援についての展望や計画など、お聞かせください。
永井さん 今後も、これまで述べてきた弊社の人材育成方針や、レバレジーズらしさを活かした施策のあり方などは変わりません。ただ、より会社も成長し社員もより自己実現をしてもらう観点から今後大きいのは、やはり適材適所の精度を上げていくことです。
前川 タレントを埋もれさせないということですね。
永井さん はい。これまでは、私たちもそれぞれの社員メンバーと話をする中で、人数が1500人くらいまでは、各人の経験や強みなどを何となく把握できてきました。しかし、社員数が2000人を越えてくると、もう人の頭の記憶だけでは限界を感じています。
きちんと個人のデータを蓄積していかなければなりませんし、ポジションのほうも言語化してマッチングできるようにする必要がある。そうしないと、優秀な人たちを引き留められないことは、経営会議でも話題になりました。これは1~2年でできることではないので、5年ほどかけてやっていこうという話はしています。
前川 組織のさらなる拡大と発展に合わせた、仕組みづくりが課題ということですね。
御社では、若い社員の働きがいと成長の実現を一番基本に置き、明るく楽しみながら地道なマネジメントもしっかり実行されていることがわかりました。
時代の最先端を行く急成長ITベンチャー企業でありながら、「働きがいある大企業」若手部門1位であることの秘訣は、意外にも「レバカツ」をはじめ、良い意味で時代と逆行する「昭和」な(笑)風土づくりにあるというのも、温故知新を感じる発見でした。
とても興味深いお話をたくさんいただき、ありがとうございました。
【プロフィール】
永井 遥佳(ながい・はるか):レバレジーズ株式会社 人事本部 人事戦略部 人材開発グループ/組織開発グループ グループマネージャー/2017年に組織人事コンサルティング会社に新卒入社。大手企業向けのコンサルティング部門で、コンサルタントやHRテックのカスタマーサクセス等を経験。2020年7月にレバレジーズに入社し、2021年から現職。グループ会社全体の人材育成と組織開発を担う。新入社員・リーダー・マネジャー育成の他、チームビルディングワークの設計・運営、社内公式部活動「レバカツ」の導入も担当。
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授/人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。近著に、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。