自社メディア事業、人材関連事業、M&Aコンサルティング事業などを展開するレバレジーズでは、2022年に社内の公式部活動「レバカツ」を導入して、話題になっている。
部署を超えた社員間のコミュニケーションを積極的に奨励しているのだ。
この取り組みによって、社員は同じ趣味の仲間を得るとともに、互いに仕事の相談相手にもなり、他のプロジェクト情報を自身の仕事に活かすなど、生産性向上やイノベーションにも好影響を及ぼすことをねらいとしている。
人材育成支援を手掛ける、株式会社FeelWorks代表の前川孝雄さんが、レバレジーズを訪問。
同社の「レバカツ」に代表される社員の活性化施策をはじめ、Z世代を中心とした若者が成長し、組織も急成長を遂げる同社ならではのマネジメントや人材育成の現状と今後の展望について、深く話を聞いた。
《お話し》永井 遥佳さん(レバレジーズ株式会社 人事本部 人事戦略部 人材開発グループ/組織開発グループ グループマネージャー) 《聴き手》前川 孝雄(株式会社FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)
新入社員のオンボーディングとリーダー育成に注力
<コミュニケーション活性の切り札に「部活、いいんじゃない!」 レバレジーズ、「社内部活」で生じたプラスの変化は【インタビュー】>の続きです。
前川孝雄 企業として急成長を遂げてきた中では、人事面でもさまざまな課題があり、ご苦労もあると思います。組織・人事をリードする永井さんとして、特にプライオリティが高いテーマは何でしょうか。
永井遥佳さん 私の現在の中心的役割が人材育成ですので、新入社員のオンボーディングとリーダー育成がど真ん中のテーマです。
前川 では、まず新入社員のオンボーディングからうかがいます。新卒採用と中途採用との比率はどのくらいで、それぞれ育成・定着への支援はどのように行っていますか。
永井さん 社員全体では約半々なのですが、直近の採用では新卒2.5に中途1という比率です。
新卒者については、大きく2年間をオンボーディング期間としています。最初は全社研修でマナーや基礎的なスキルを教えます。その後は事業部ごとに異なりますが、期間の長い部署では3か月ほどじっくり研修し、ある程度独り立ちできる状態にしてから現場に本格配属とします。
小さい部署でそこまで余裕がないところは、いきなり現場に入れてOJTで頑張って、ということもあります。その後は、半年に1回、同期を集めて、振り返りの内省と相互刺激と交流の機会をつくっています。
そのほか、各部署でブラザー・シスター制度によるフォロー体制を敷いています。新卒1年目はメンタル面でも揺らぎがちなので、メンター制度として他部署の先輩社員を相談役に付けるなどして、定着支援をしています。
そのうえ、全社員のエンゲージメント調査を毎月行っていますので、スコアが目立って落ちている人があれば、人事の側から事業部に留意を促すようにしています。
前川 毎月エンゲージメント調査を行っているのですね。
永井さん 既成のものと、内製したものと、2つで測定しています。社員からすると「毎月アンケートが多い!」と思っているでしょうね(笑)。地道に、一人ひとりのコンディションを見ながら必要な声掛けをするようにしています。
ただ、早期離職やリテンションマネジメントについて、多くの労力を要するほどの悩みはなく、離職者も他企業一般と比べて多くないです。
前川 なるほど。社員一人ひとりを、しっかりきめ細かく見守っているからですね。中途採用者の場合は、いかがでしょうか。
永井さん 中途採用者については、3か月程度をオンボーディング期間としています。
まずは、会社の理念やルールを知ってもらう研修を行います。その後、中途採用同期のメンバーでのランチに助成をして、仲間づくりを促します。また、「岩槻さんこんばんわ会」という砕けた名称の(笑)、代表との約1時間半のオンライン座談会の機会を設けています。
「岩槻さんの経営思想はどんなですか?」と真面目な質問から、「飼っている犬の種類は何ですか?」「お金持ちそうですが、どこに住んでますか」(笑)などプライベートな内容まで、ざっくばらんな対話をしてもらいます。
このように、中途採用者に対しては、組織適応のための施策が中心になります。
前川 次に、リーダー育成についてうかがいます。リーダー層といっても、20代でまだ若いすよね。どのように育成していくのですか。
永井さん 最初のマネジメント階層である「リーダー」が25~26歳、次の「マネジャー」が27~28歳、トップラインの「部長」層が35歳前後です。
リーダー育成では、まずリーダーになる手前のプレリーダー研修でリーダーとしてのマインドセットを学ぶ機会とし、実際にリーダーになってからはリーダーの基本的役割について基礎的な研修を行います。
その後は、部署ごとに課題感や研修内容も異なってきます。ある部署の例では、急な体制づくりで新しいリーダーたちも、ピープルマネジメントのどこから手を付けていいかわからない。まず優先対応として、性格タイプ診断を使った施策を行っています。
弊社では全社員が既成ツールのエゴグラム診断を受けています。リーダーに対して、「あなたはこういう個性で、担当する部下はこういう個性。だから、この部下とは性格が共通するので心配ないけれど、この部下とはこの点の違いにだけは気をつけて」といった注意を促すサポートをしています。
前川 リーダーたちは非常に若く、マネジメントは大変でしょうけれど、そうしたサポートと機会を提供されれば、苦労はしても何とかやれるようになるわけですね。
永井さん がむしゃらに、やらざるを得ない状況に置かれますからね。