コーヒーショップの店内で勉強する人をしばしば見かける。チェーンのスターバックス公式サイトでも、「店内で勉強しても良いですか?」という疑問の声が、「よくあるご質問」として紹介されている。
コーヒーショップでは、他の人の話し声が聞こえたり、音楽が流れていたりする場合もあるだろう。実際、こうした「カフェ勉」は効率的なのだろうか。
やる気が湧く人、集中できない人
「趣味のものなどが視界に一切ないため、没入するように集中力が続きます」。こう取材に話すのは、神奈川県在住のAさん(23歳)。月に5回程度通った時期もあった。コーヒーショップには、仕事や勉強に取り組む人が多いため、Aさんもやる気が湧く。
東京都に住むBさん(26歳)は、受験勉強で最も利用していたと振り返る。当時、週に3~4回ほど通った理由は、「家だと他のものに目移りして気が散ったり、寝たりしてしまうのを防ぎたかった」と話す。他の利用客もいるため、怠けづらい。自宅で勉強するよりも効率が上がったという。
一方コーヒーショップでは、勉強できない人もいる。神奈川県在住のCさん(20代)は、「周囲の人の話し声が気になって集中できない」と話す。自宅の方がリラックスしながら勉強できるため、集中力が上がると説明した。
「目的を持って行く」が重要
ベネッセ教育総合研究所主席研究員・木村治生氏に詳しい話を聞いた。効率的な勉強場所は人によって異なる。他の場所に比べて勉強がはかどるか、集中して勉強できるかという点で、効率性を判断できる。
「どこで勉強するのが効率的かは人によって違うので、いろいろと試してみて、自分で勉強が進みやすいという場所を見つけることが大事です」
その上で、コーヒーショップで勉強するメリットを次のように説明する。
「日ごろの時間を多く過ごす家や学校、職場などとは少し異なる特別な空間です。そこに勉強道具をもって、勉強する目的で行くわけですから、自然とやる気は高まります。この『目的を持って行く』というところが、勉強を効率的にするポイントです。居心地がよく、集中でき、勉強がはかどるようであれば、だれにとってもカフェは効率的な勉強の場所になりえます」
一方、デメリットも。周囲に話す人がいたり、音楽が流れていたりする。照明の明るさや椅子の座り心地が合わない場合や、何度も利用することで費用がかかる場合もある。「こうしたことが気になって勉強が思うようにはかどらないなら、効率的とは言えません。」
木村氏は、「どのやり方が自分に向いているのかを知ることは、学習者として効率的に勉強していくうえでとても重要です」と指摘。勉強時間や場所、内容、方法について、自分の効率性が高いものを知っていれば、パフォーマンスも上がると説明した。