若い社員が経営幹部に消費トレンドをレクチャーした事例
――いい話ですね。お互いに教え合ったことのアフターフォローをすると、人間関係が深まり、職場の雰囲気もよくなりますね。
ところで、企業が若い人が年長者に教える「リバースメンタリング」を導入している企業にはどんな特徴がありますか。
新聞報道によると、資生堂や世界最大の消費財メーカーP&G日本支社などで若手社員がメンター(助言・指導員)になり、経営幹部層にデジタル技術や消費トレンドなどを教えているそうです。
福澤涼子さん 両社とも、女性社員が多いのが特徴ですよね。たしかに社会全体でも、最近は働き方改革が進んでおり、特に女性社員の場合は子育てと仕事の両立が課題になっています。しかし、現代の経営層の多くは家庭を顧みずに働いて幹部になった人も多いと思います。そうした世代からすると、若い子育て世代の人が色々と進言することで、職場の働き方を見直すきっかけになっているのではないでしょうか。
また若い世代が最新のトレンドを先輩たちに教えるということもあるようです。昭和の時代は、テレビCMを打って流行をつくることができました。しかし、いまは発信チャネルも多様で、トレンドの移り変わりが激しい。その点、若い人のトレンドキャッチ能力は、経営に活かすことができる貴重なスキルです。
また、同じように海外の大手の消費財メーカーでは、若い社員がオンラインでの買い物の仕方を経営層にレクチャーしているそうです。たしかにいまの若い人たちは物を買う際にハッシュタグをつけて検索したり、TikTok、インスタ、YouTubeなどを見たりして、比較して判断しています。
こうした買い方を知らない年長者からすれば、販売戦略を検討する大きなきっかけになることでしょう。