企業で始まった若手が年長者を教育する「リバースメンタリング」 なぜウィンウィンな制度なのか(1)/第一生命経済研究所・福澤涼子さん

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学び直しをしないと、取り残されることを理解する

   J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめた福澤涼子さんに話を聞いた。

――ミドルシニア層で「下の世代と話すと学びがある」と答えた人が52%。一方、若い層で「上の世代と話すと学びがある」と答えた人が52%。全く同じ数字という点がとても面白いです。なぜ、こんな結果が出たのでしょうか。

福澤涼子さん 上の世代が下の世代から教わる必要が出てきたことが最も大きな要因ではないでしょうか。

仕事の経験が深い上の世代が下の世代に教えることが本来の姿ですが、仕事の環境が現代はすっかり変わりました。その理由の第1は、IT技術の進歩です。建築、介護といったITから最も遠かった分野にまでデジタル化が進んでいます。IT技術に関しては、若い世代が上の世代に教えることができます。

私は30代ですが、最近、50代の先輩が新たなシステムをインストールするお手伝いをしました。先輩は「手順書通りにいかないから難しい」と困っていましたが、私は「ここをこう動かせば、いいと思います」といい、実際、動かすことができました。若い世代は、デジタルに関してはマニュアルがなくても、何となく感覚的にわかる面があります。

――社会のデジタル化が、世代を超えた学び合いのけん引役になったということですね。

福澤涼子さん はい。またそうしたITスキルのみならず、社会の変化に応じたリスキリング(学び直し)が、ミドルシニア層にも求められるようになりました。

新たな知識や技術を習得するのは、若い人のほうが優れていると言われます。その点でも、下の年代が上の年代に物事を教えるということは今後ますます増えてくるかもしれません。

また、定年が伸びることで、職場にシニアの方が増えて、若い層と一緒に仕事をする機会が多くなったことがあげられます。つまり、年齢のダイバーシティが進んでいるということです。

企業の側から見ると、もし世代の対立が広がって職場の雰囲気が悪くなってしまったら、生産性の低下につながります。お互いに理解し合わなくては、会社の存続の危機になりかねません。そうした意味でも互いを理解しあうための学び合いが大事だといえるでしょう。
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