自社メディア事業、人材関連事業、M&Aコンサルティング事業などを展開するレバレジーズでは、2022年に社内の公式部活動「レバカツ」を導入して、話題になっている。
部署を超えた社員間のコミュニケーションを積極的に奨励しているのだ。
この取り組みによって、社員は同じ趣味の仲間を得るとともに、互いに仕事の相談相手にもなり、他のプロジェクト情報を自身の仕事に活かすなど、生産性向上やイノベーションにも好影響を及ぼすことをねらいとしている。
人材育成支援を手掛ける、株式会社FeelWorks代表の前川孝雄さんが、レバレジーズを訪問。
同社の「レバカツ」に代表される社員の活性化施策をはじめ、Z世代を中心とした若者が成長し、組織も急成長を遂げる同社ならではのマネジメントや人材育成の現状と今後の展望について、深く話を聞いた。
《お話し》永井 遥佳さん(レバレジーズ株式会社 人事本部 人事戦略部 人材開発グループ/組織開発グループ グループマネージャー) 《聴き手》前川 孝雄(株式会社FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)
2022年から始まった...公式部活動「レバカツ」とは
<Z世代の早期離職ほぼゼロ レバレジーズ、なぜ若者がこれほど成長できるのか? カギは「頑張りたい人が頑張れる環境」【インタビュー】>の続きです。
前川孝雄 御社は、2022年から公式部活動の「レバカツ」をスタートさせています。
時代に逆行するポリシーを掲げた部分もあるとのお話しもありましたが(前回記事を参照)、会社の上司部下や同僚たちと部活というは、この「令和」の時代にそぐわない印象もあります。
世の趨勢は、残業はもちろん、飲みにケーションなど含む時間外の拘束は極力控え、社員のプライベートを尊重しようという流れだからです。
急成長するベンチャーで公式部活動を開始したというギャップに興味をそそられます。まずはレバカツ導入の背景から伺えますか。
永井遥佳さん まるで「昭和」な取り組みですし、コロナ禍にも敢えて逆行していますしね(笑)。実は弊社には、コロナ禍前まで「飲みにケーション手当」といって、社員同士が飲みに行くことを助成する制度があったのですが、コロナ禍で中止になりました。
その後、コロナ禍はやや落ち着いてきたものの、さすがに飲み会は推奨できない狭間の時期に、社員同士のコミュニケーションを断絶させない何かいい施策はないか検討したのです。
組織が急成長し、社員数も大きく増えてきたことで遠心力が強まり、意図的につなぎとめていかないと、あっという間に各部署が別会社のようになってしまう。また、部署ごとに蓄積されたナレッジを互いに共有しにくくなることも、会社としてロスが大きい。
そこで私と上長とが相談し、「部活、いいんじゃない!」(笑)と思いつき、代表の岩槻の承諾を得て始めたのです。
前川 なるほど。しかし、なぜ部活という選択肢を選んだのですか?
永井さん 単に交流するだけなら、みんなを集めて社内イベントを行う方法もあります。しかし、その後のネットワーク構築は続きにくいものです。
社員にもヒアリングをしたのですが、いきなり他部署の人と「初めまして、飲みましょう」にはならず、何かワンステップほしいとのことでした。であれば、共通の趣味や関心事で集えるもの...それなら「部活だ!」というわけです。
社内のスラック上に、以前から好きな人同士が集うオープンチャンネルがあり、「バスケットボール好き」や「酒好き」などの集まりがありました。なので、それらを公認すれば早い、とも考えました。
前川 そもそも御社ではなぜそこまで社内のネットワークづくりにこだわるのでしょうか?
永井さん 1つには、それがレバレジーズらしさだからです。
創業当初から、夏には七夕パーティ、秋にはハロウィン、冬はクリスマスなど、なにかと一堂に会して仲良く親しみ、その後の仕事でもコミュニケーションを取りやすくする、という文化がありました。
そして、次第に社員数が増えてきて、全員が一堂に会すのも難しくなる中で「飲みにケーション手当」なども行ってきたわけです。
代表の岩槻の中にも、社員が相互に交流し合うことは、直接の利益は生まないかもしれないけれど、ゆくゆくの仕事のしやすさにつながったり、困った時に悩みを相談し合えたりすれば、プラスになるとの考えがありました。
インフォーマル・ネットワークをつくるのを是とする空気があったことが大きいと思います。また、オールインハウス体制で多様な社員がいて、互いの強みやナレッジも異なります。誰に何を訊けば詳しいかを知るきっかけがあると、何かと助けてもらいやすくなりますし。