2024年のお花見の経済効果は、1兆1358億7149万円に――。関西大学の宮本勝浩名誉教授は3月14日、このような推計を発表した。花見に出かける日本人は約6139万人、訪日外国人客は約373万人と予測した。
外国人観光客は桜に、そこまで興味があるのだろうか。旅行会社大手JTBに取材した。
訪日外国人客は約373万人が花見
宮本名誉教授は、今年の花見は新型コロナが5類に移行してから初めてで、行動規制がないため、「多くの人出が予想される」という。
その上で、日本在住者の花見の推定人数について、20歳未満が約642万人、20歳以上80歳未満が約5497万人、合わせて約6139万人になると計算。花見での一人の平均消費額は、20歳未満は約4935円、20歳以上は6935円とした。これらの金額と人数を掛け合わせて合計すると、日本在住者の総支出額は約4128億9965万円になるとの推計だ。
一方で訪日外国人の花見客の数は、JTBの調査を引用し、3月中旬から5月中旬の間で約373万人と推定。また国土交通省観光庁の報告書をもとに、一人一日当たりの宿泊費や観光、レジャーを含めた旅行支出額を約3万286円とした。結果、訪日外国人客の花見の総支出額は約1129億6678万円だと予測した。
経済効果は、直接効果、一次・二次波及効果を合計したもの。花見客の交通費、飲食費、土産代などの直接効果と、例えば購入した弁当に入っていた玉子焼きや漬物の原材料費のような「直接効果の原材料の売上増加額」である一次波及効果を合わせると、約8624億2095万円となる。さらに、経済的効果が生産者や小売りの収入に波及する二次波及効果は、約2734億5054万円と計算。全てを合わせた経済効果は約1兆1358億7149万円になるとした。
2023年の花見の経済効果は、6158億1211万円だった。24年は、この約1.8倍となる。
「日本と言えば桜というイメージ」
「例年、3月から4月にかけては欧米のイースター休暇とも重なり、観光で日本にやって来る外国人には『日本と言えばサクラ』というイメージがあります。大変人気です」
JTB広報室は、こう説明する。渡航制限がなくなったことで、今年の3・4月の日本観光ツアー予約状況は、コロナ前の2019年を超える見込みで、特に欧州からの渡航客は23年を上回る数だと明かした。
ツアーで花見を組み込むわけではないが、「訪れた観光地で桜が咲いていると、写真に撮ったり、歓声を上げたりするなど、アジア・欧米どちらのお客様にも日本の桜は人気になっています」とのことだ。