のり弁当――庶民や若者のおなかを満たしてきた、コスパの良い弁当だ。「おかか」や昆布の載ったご飯にのりがバーンと敷いてあり、その上には白身フライやちくわ磯部揚げ、からあげ、きんぴらごぼう。こんな中身を思い出すだろう。
しかし、2010年代後半から、のり弁当にも高級化の波が打ち寄せてきているという。こだわりのおかずや、産直のコメや高級なのりを使用。やはり味も客層も格段に違うのだろうか。
こだわり食材、おかずも多種多様
コロナ禍の2020年頃から、高級のり弁当がテレビでもよく取り上げられるようになった。先駆けとなったのは、「海苔弁いちのや」、「味の兵頭」、「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」などがある。首都圏の店舗や大手デパートにテナントで入っているほか、地方都市にも進出してきたようだ。
弁当チェーンののり弁の価格を見てみよう。「オリジン弁当」では320~570円。最高値は「酒西京焼きのり弁当」で572円(税込み、以下同)だ。「HottoMotto」の価格帯は390~640円ほどで、最高値は「BIGのり弁当(ナポリタン)」。白身フライ、ちくわの天ぷら、しば漬け、きんぴらごぼうに、スパゲティーナポリタン、目玉焼き、ウインナーが入った大ボリュームで640円(税込み)となっている。
一方の高級のり弁当。「海苔弁いちのや」の「東京名物 海苔弁」(1080円)では、のりは瀬戸内海産を使い、「しっかりとした食感に海苔本来のうまみ」があるという。おかずは、玉子焼き、きんぴらごぼう、野沢菜漬け、鶏もも肉のみそ焼き、ちくわ磯部揚げ、魚フライ。
「味の兵頭」の「魚弁 海苔弁当(ハラミ白醤油焼き)」(1581円)では、白飯にのりと鰹節がかかっており、おかずは鮭ハラミ白醤油焼や煮物(がんもどき、竹の子、にんじん、ふき、椎茸)、玉子焼、ひじき当座煮、さくら大根、きんぴらごぼうが使われている。
こうした高級のり弁当には、SNSでも好評な声が多い。Xでは「いちのや海苔弁いただきました!こだわりの海苔が口の中で溶けるー!」や、「一つ一つの料理が凝っていて丁寧に作られている感じがして、とても美味しかったです」「厳選されたおかずという事でどれも普段食べるのり弁より美味しかったです。特に磯辺揚げと鶏肉がンマイ!」とある。