石川県でも予約受付がスタートした観光支援策「北陸応援割」に対し、小規模のゲストハウスなどから割り当てられた予算が少なすぎると、X上で不満の声が上がっている。
金沢市内で姉妹館を運営する「ゲストハウス岐阜羽島心音」(岐阜県羽島市)は2024年3月11日、翌日から始まる応援割の予算額を確認して、「なんと、たったの75000円だそうです」とXアカウントで明かした。
「2万円の割引き、4人も消化できない...」
1人1泊2万円を上限に最大50%引きとなることから、「2万円の割引き、4人も消化できない...」とその枠の小ささを嘆いた。
やはり即日で割引が適用できなくなったといい、「しょぼ過ぎて、友達枠だけで終了」「こんなことなら、この予算を直接、被災者支援に振り分けた方がいいと思いますね」とつづった。
テレビなどの報道では、加賀市内の温泉旅館「みやびの宿 加賀百万石」や金沢市内のホテル「金沢ニューグランドホテル」といった大型施設は、初日の3月12日だけで1000人以上の予約を受け付けたという。
こうした報道を受けて、ゲストハウス岐阜羽島心音では、「2000万以上の予算枠が有るものと思われます... 旅館とゲストハウスではこんなに違うでしょうか」とその格差についても指摘した。
ゲストハウス岐阜羽島心音のオーナーは14日、J-CASTニュースの取材に応じ、予算割り当ての経緯を語った。
それによると、23年2月に金沢市内でオープンした姉妹館「ゲストルーム心音-金澤表参道-」について、応援割を申し込み、7万5000円の予算が割り当てられた。石川県では、22年10月~23年7月まで全国旅行支援を実施していたが、その実績がないため最低額になったと県から説明を受けたという。そこで、16年に同じ金沢市内でオープンし旅行支援の実績がある別の姉妹館「ゲストルーム金沢心音」で応援割を申し込んだが、同じ7万5000円だったとしている。
「旅行支援の実績がなかったことになります」
「旅行支援のときは、追加、追加で割引の枠が来て、100万円前後の予算になりました。今回の応援割は、その10分の1ぐらいですので、ちょっと酷いですね。7万5000円では、電話応対などの手間ばかりかかって、むしろ邪魔されているような感じさえします。大きな旅館は、最大2万円の割引がすべて使われたとして、2000万円以上になりますから、大きなところを優遇したのではないかと勘ぐってしまいます。県の予算約50億円のうち、宿泊施設にいくら回っているかも不明で、旅行会社に多く割り当てられているのかもしれません。県に聞いても、『予算の配分は非公開のため、計算式は教えられない』と言うばかりです」
他の小規模なゲストハウスなどでは、1日で予算がなくなったところが多かったようだとして、応援割について、「喜んでいるところは、ほとんどありませんよ」とした。実施の前日に予算額が分かったとして、「そんな予算なら止めていたところでした。県も事前になぜ打診をしなかったのかと、不信感しかないですね」と憤った。
応援割を所管する県の誘客戦略課は、J-CASTニュースの取材に対し、応援割の予算割り当てについて、次のように説明した。
「応援割については、全国旅行支援に参画した事業者の実績を元にしたルールで配分しました。多くの割引利用があった施設には、それだけ多くの予算が配分されています。実績のない施設に多くを配分して、余ってしまっても困ります。せっかく国からいただいた予算を有効に使いたいと考えています」
ゲストルーム金沢心音などに割り当てられた7万5000円は、最も金額が小さい基礎配分額に当たるとした。
「県がこの額を試算しており、基礎配分額になれば、旅行支援の実績がなかったことになります。ですが、例えば、5000円の宿泊料金で2500円の割引になりますと、30人分の予算になります。予算配分や算定方法については、公表していません。予算が余った施設があれば、ゴールデンウィーク後に第2弾の応援割を検討していますが、予算の再配分は検討していません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)