注目浴びるTOKYO BASEの「初任給40万円」、実は「公序良俗に反して無効」の可能性 弁護士が指摘する「固定残業代80時間分」の問題点

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毎月80時間残業が前提でなくても「無効になる可能性はある」

   この固定残業代が実際に月80時間残業することを前提にしていた場合、「その固定残業代はおそらく無効になる可能性が非常に高くなるということに加えて、36協定の問題が生じます」という。

「仮に36協定がなかった場合には当然違法です。仮に36協定があり、臨時的な場合における上限の合意をしたとしても、45時間を超えることができる月は年に6か月までです。毎月40万払うという契約になっていますから、おそらく毎月80時間残業することを前提にしているのだろうと思いますが、そうすると、その45時間を超えることができる年6か月、720時間以内というのを超えてしまうので、おそらく36協定違反になると思います。残業代をいくら払っていたとしても、法的な問題が生じてくるのではないかと思います」

   仮に、固定残業代は支給されるものの、実際には毎月80時間の残業を前提としていない場合はどうなのか。深井弁護士は次のように指摘した。

「公序良俗に反するかどうかは、いろいろな要素を総合的に見て判断するということになっています。先ほどの18年の判決についても、実態として(残業)80時間を超える月が結構たくさんあったということを、公序良俗違反の理由の一つにしています。なので、実際に80時間の残業が前提になっておらず、そこまで多く残業をする実態になっていない場合は、もしかしたら判断が変わるかもしれません」

   一方で深井弁護士は、毎月80時間の残業を前提としていなくても「無効になる可能性はある」とも見る。

「そもそも法律で45時間までしか働かせてはいけないと決まっているのに、それ以上働かせることを前提にした固定残業代を設定して、実際には80時間働かせないから有効です、というのはおかしい話だと思います」

   18年の裁判例では、固定残業代について「(残業が)80時間に至っている月は無効で、至っていない月は有効だという考え方ではなく、全部が無効であるという考え方」だったと説明する。

「その後に上限規制が設けられていますから、法律で定められている上限に反するようなことを契約にしては良いのかどうかという問題は当然生じます。そうすると、やはり月80時間働くことを前提にしていなくとも、無効になる可能性は十分あると考えています」

   J-CASTニュースは13日、TOKYO BASEに実際の平均残業時間と36協定締結の有無について取材を申し込んだが、期限までに回答は得られなかった。

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