アカデミー賞授賞式での俳優らの振るまいを発端に、ハリウッドでのアジア人差別がクローズアップれる中、俳優の松崎悠希さんが2024年3月13日、Xで自身のエピソードを明かした。
『硫黄島からの手紙』『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』などに出演
第96回アカデミー賞授賞式をめぐっては、主演女優賞を受賞した女優のエマ・ストーンさんが、プレゼンターをつとめた中国系マレーシア人の女優ミシェル・ヨーさんがいないかのようなふるまいを見せたとして批判が広がった。
その後、ミシェルさんが自らのインスタグラムで「私はあなたを混乱させてしまったけれど、あなたの親友の(同じくプレゼンターとして壇上に立っていた)ジェニファー(ジェニファー・ローレンスさん)と一緒に、あなたにオスカーを手渡したあの輝かしい瞬間を共有したかったんです」などと釈明する事態となった。
助演男優賞の俳優についても、授賞式の際、受賞者が同じくアジア系にルーツを持つプレゼンターを意図的に無視したのではないかなどとする指摘があがり、ハリウッドにおけるアジア人軽視への注目が集まっている。
こうした中、アメリカおよび日本で活動する俳優の松崎さんが13日、Xで自身が経験した「アジア人軽視」にまつわる「トラウマ」を明かした。松崎さんの出演作には『硫黄島からの手紙』や『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』などがある。
「ハリウッドのアジア人の『透明化』の件で僕のトラウマになってることの一つが、2009年の映画『ピンクパンサー2』で、メインキャストで僕だけがポスターから『消された』こと。ポスター用写真(2枚目)も撮影してたのに。そりゃインド人のアイシュワリヤー・ラーイさんは残ってるけどさ...」
『ピンクパンサー2』は、世界各国で次々と起こる文化遺産の盗難事件の解決のため各国の精鋭の捜査官によるドリームチームを結成し、ハチャメチャな捜査で真相に迫るというコメディ映画だ。松崎さんが演じたのは日本からチームに参加した捜査官「ケンジ・マツド」役だ。
投稿にはポスター用に撮影したという写真が添えられているが、実際に使われることはなかったという。公開されたポスターには、主人公を演じたスティーヴ・マーティンさんを中央に、左右にメインキャラクターから3名ずつの合計7名が並び、松崎さんの姿はない。
「我々にとっての『ハリウッド』は2024年の今でも、クッソ人種差別的です」
松崎さんは当時の映画公式ページのスクリーンショットを添え、「当時『ピンクパンサー2』のホームページでは、こういう風にちゃんと『メインキャスト』の一人としてバーーーンと載ってた」と説明。「THE DREAM TEAM」と書かれたメイン役の中には、松崎さん演じるケンジの姿があった。
「...なのに『公式ポスター』には僕だけが、いない。『別にユウキはいなくてもいか、アジア人だし。』という判断がされてしまうのが本当に悲しかった」と当時を振り返った。
投稿を見た人からは、不可解な対応に納得できないとする声が寄せられた。当時ポスターを見て、違和感を覚えたとつづる人もいる。
「当時、こんげな田舎からハリウッドに進出しやった人がおるげな!!しかもピンクパンサーね!?と喜んでました。子供の頃に抱いたポスターへの違和感の答えがまさかの透明化とは...ショックです...」
「あれほどメイン張られてたのに... ハリウッド作品で日本の役者さんが活躍されているのを初めて見たのは、まさにこの映画の松崎さんでした!!」
「ポスターが3-1-3でバランス取れる様に7人に絞る時にこぼれ落ちるポジション、って事か」
松崎さんは別の投稿でも自身のインタビュー記事を引用し、「夢を壊してスミマセンが、我々にとっての『ハリウッド』は2024年の今でも、クッソ人種差別的です」と訴えている。
ハリウッドのアジア人の「透明化」の件で僕のトラウマになってることの一つが、2009年の映画「ピンクパンサー2」で、メインキャストで僕だけがポスターから「消された」こと。ポスター用写真(2枚目)も撮影してたのに。そりゃインド人のアイシュワリヤー・ラーイさんは残ってるけどさ… pic.twitter.com/ZtxPzfsfy7
— Yuki Matsuzaki 松崎悠希??? (@Yuki_Mats) March 13, 2024