デジタル画面でオーダースーツを選べる
J‐CASTニュースBiz編集部は調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。
――ズバリ、スーツが復活してきた理由は何でしょうか。特にオーダースーツは、かつて団塊世代が最大のボリューム市場といわれましたが、若い人の間にも増えてきたのはなぜですか。
飯島大介さん コロナが収まってきて、リアルな出社を取り戻したからです。対面で人と会う機会も増えました。やはり、ラフな格好ではまずいということでしょう。
現在、オーダースーツは気軽に作れるようになっています。団塊世代が作ったような採寸して型紙をつくり、素材選びまで念入りに行う「フルオーダー」よりも「パターンオーダー」が中心です。こちらはサンプルのつるし(既製服)をもとに自分のサイズに合わせてウェストを少し絞り、袖を詰めるといった調整を加えるもので、簡単に、安く、早く作れます。
――団塊世代の私が30年ほど前、「管理職になったから、恥ずかしくないスーツを」と、銀座山形屋で採寸して作った時は1か月以上待って、店に取りに行ったものでしたが。
飯島大介さん 「パターンオーダー」なら1、2週間ほどですね。青山商事では「デジタル・ラボ」方式を使っています。店内にタッチパネル式のデジタルサイネージ(電子看板)が置いてあり、さまざまなスーツを「試着」した自分を見ることができます。
店側は店舗に商品がなくても、客に「試着」させられますから、在庫スペースを大幅に削減できます。素材の布のサンプルとデジタルサイネージだけがあれば、店舗の運営ができるほどです。
しかも、デジタル・ラボで購入したスーツはオンラインシステムの販売ルートに乗るので、客は店に取りに行く必要もありません。