「就職氷河期世代」。バブル崩壊後の雇用情勢が厳しい時代と就職活動が重なった、主に1970年~83年生まれの世代だ。苦労したにもかかわらず、非正規労働者の割合が多いとされる。
だが実は現代のオフィスで、非常に有用な存在になってはいないだろうか。というのは、アナログもデジタルも、オフィス機器における全ての過渡期を経験している唯一の世代だと思われるからだ。
異なるオフィスツールを使いこなしてきた
氷河期初期世代は、就職戦線を勝ち抜いた人は1990年代前半に新社会人となっている計算だ。当時はパソコン(PC)やインターネットは一般的ではなかった。事務作業は手書きという完全アナログかワープロ、通信手段も固定電話とファクスが主流だった。
1995年、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ95」の出現により、PCの普及が進む。またインターネットの利用も広まっていった。ただ記憶媒体は「フロッピーディスク」が現役だった。
携帯電話も大きく変わった時期と重なる。「IDO」といったキャリアに始まり90年代にはPHSが普及。99年にNTTドコモが「iモード」のサービスを開始し、以後は「ガラケー」全盛期となる。2008年に日本国内で「iPhone」が発売されるや、今度はスマートフォン(スマホ)が主流となった。
このように、時代の流れに応じて異なるオフィスツールや通信機器を使いこなしてきたであろう氷河期世代。ここに何か「優位性」はあるのだろうか。
激変する過渡期を体に刻み込んできた
J-CASTニュースBiz編集部は、ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏に取材した。本人も「氷河期世代」の初期には当てはまるという。オフィス業務で、多くの変化を「体感」してきた。「確かに、他の世代との懸け橋となる要素はあります。この点は優位性と言えます」と指摘した。
具体的には、こんな具合だ。気づいた時からスマホが当たり前だった今の若者と、いまだにメインの連絡手段がファクスという高齢の世代。話がかみ合わない恐れはある。氷河期世代が両者の間に入って、「つなぎ役」を果たすのだ。
若者には、昔ながらのオフィス機器使用にこだわる高齢者の気持ちを代弁する。逆に高齢世代には、スマホの有用性を説く。激変する過渡期を体に刻み込んできた氷河期世代だからこそ、こうした「通訳」ができると語った。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)