「トコジラミ」首都圏の電車にも...JR東が「殺虫剤散布」 被害防ぐには?専門家に聞く

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「旅行先・出張先から持ち込まないように注意すべき」

   トコジラミの生息が国内で広がっているとの見方については、こんな見解を示した。

「各関係団体の統計を見ると、コロナ禍後の駆除件数の増加割合は、インバウンドや海外渡航者の増加割合ほどは大きくないようです。その背景はインバウンド増加以前に日本の国内の住宅の一定割合で定着しつつあり、コロナ禍でもあまり減少していなかったことがあります。トコジラミが世界的に再興した2000年代に考えられていた要因として、2000年代当時、すでに人流はグローバル化しており、それが世界的拡散の一因とされていました。また、生息に気づきにくい、あるいは生息していても隠ぺいしてしまうこと、さらに、主な駆除用の殺虫剤(多くの家庭用殺虫剤の主成分であるピレスロイド剤)に対する抵抗性といったことが大きな要因と考えられており、この状況は2024年の今も変わっていません」

   トコジラミの生息域拡大を防ぐために、どんなことが必要かについては、こう述べた。

「個人でできる対策として、徹底的に駆除する必要があり、一般家庭で自分の手で駆除するのは相当難しいので、まずは自分で旅行先・出張先から持ち込まないように注意すべきでしょう。宿泊先では荷物を床面に直接置かず、ベッドから離れた荷台に置くこと、心配であればバッグ全体にイカリジンといった虫よけスプレーを処理することや大きいビニールに包んでおくことで持って帰らないようにするといった自衛手段も必要かと思います。さらに、部屋に入った直後にベッド周りに血糞等がないことをまず確認することがいいと思います。自宅でトコジラミらしきものを見つけたら、すぐに捕まえて殺して、専門家に見てもらい、トコジラミであることが確定すれば、プロの専門業者にお願いするほうが安心です。特にマンションなどの集合住宅ではご自分の部屋でなく、隣接するお宅からの移動分散も考えられ、その場合、ご自宅だけ駆除してもすぐに復活する恐れがあります。実際に依頼する場合はペストコントロール協会などに問い合わせてきちんとした業者を紹介してもらうことが必要でしょう」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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