日経平均4万円突破!住宅・不動産市場には、どんな影響を与えるか?/中山登志朗さん解説

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異次元の金融緩和の終了が、今後のシナリオを大きく変える?

   ただし、日銀が「異次元の金融緩和」を終わらせて、円安の是正、および、適正な金利のある社会を目途として金融引き締めに向かうことになれば、今後のシナリオは大きく変わることになります。

   つまり、金利の先高観が強まることで、住宅ローンを活用して(レバレッジを効かせて)住宅を購入するユーザーが減少し、住宅価格も頭打ちからエリアによっては、下落する可能性が出てくることになるのです。

   もっとも、それでも新築住宅の建築コストは上昇し続けていることから、これまでの利益率を確保できない不動産会社――とくに、準近郊・郊外での住宅分譲を多く手掛ける企業の業績は、確実に悪化することになります。

   それでも住宅ローン変動金利が連動している国債の短期金利(正確には短期プライムレート)は1995年以降約30年間1%以下で推移しています。

   ですから、たとえ「異次元の金融緩和」が終了しても、金利の上昇は極めて慎重に、かつ緩やかな推移となることは確実です(GDPギャップの大きい日本では、金利を短期間で急激に上げると、深刻な景気後退を招いてしまいかねません)。ということは、変動金利で住宅ローンを借り入れるメリットは、依然高いといえます。

   また、2024年4月からは「省エネ性能表示制度」が始まりました。

   それにより、住宅・非住宅に関わらず、建物の省エネ性能および断熱性能、それに加えて、年間光熱費の目安も表示されるようになります(新築は努力義務で中古は推奨)。

   さらに2025年4月からは、全ての新築建築物に、省エネ基準への適合義務が課せられることになっています。つまり今後は、住宅の資産性だけでなく、省エネ性や光熱費を含めた「コスパ」も注目されるようになります。

   2024年の住宅・不動産市場は、株価の推移と合わせて注視していく必要があるでしょう。



【筆者プロフィール】
中山 登志朗(なかやま・としあき):LIFULL HOME'S総研 副所長・チーフアナリスト。出版社を経て、不動産調査会社で不動産マーケットの調査・分析を担当。不動産市況分析の専門家として、テレビや新聞・雑誌、ウェブサイトなどで、コメントの提供や出演、寄稿するほか、不動産市況セミナーなどで数多く講演している。2014年9月から現職。

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