宇宙産業において、日本はポテンシャルが高い国
いま、世界中で注目されている宇宙ビジネス。これまで宇宙にかかわりのなかった企業も参入し始めている。
そうしたムーブメントの中、「小型人工衛星」の開発を手掛けるのが、東北大学発のスタートアップ、ElevationSpace(エレベーションスペース)。
【ElevationSpace】
小林稜平さんによると、宇宙産業を発展させるうえでは宇宙空間での研究開発および技術実証(実証実験)を行うためのプラットフォームが欠かせないという。
ElevationSpace(エレベーションスペース)・代表取締役CEO 小林稜平さん/「人工衛星の試験で利用した『福島ロボットテストフィールド』は東京都市圏からアクセスがいいのもメリット」
同社が開発中の小型人工衛星にはカプセルが搭載され、そこで実証実験ができる仕掛け。そして実験終了後、カプセルを確実に地球に帰還させる――このようなプラットフォームをサービスとして提供していきたい考えだ。
「ニーズとしては、人工衛星の部品や光学センサー、カメラなどを宇宙空間で実証実験したい、というものが挙げられます。そこで私たちのサービスでは、宇宙空間での実験を終えた物資が入ったカプセルを狙った位置(海上)に落として回収し、物資をお客様に返却→お客様はそれをもとに耐性などを確認し、最終的な製品につなげていくのです」
2027年からの本格的なサービス化を目指し、開発は佳境を迎えている。
【AstroX】
「いま、世界では宇宙産業の競争が過熱しています。宇宙を制する者が次の50年を制するとも言われ、1990年代に起きたIT企業の黎明期に近い熱量があります」
加速する宇宙ビジネスについて、AstroX(アストロエックス)の小田翔武さんはこう語った。同社が開発を急ぐのは、空中発射のロケット。
AstroX(アストロエックス)・代表取締役 小田翔武さん/「日本で『宇宙産業といえばこの都市』といえるところは少ないと思います。これから力を入れて取り組めば、福島が日本における宇宙産業の一大拠点となり、盛り上がっていくはず」
現在、技術の進歩とともに、人工衛星やロケットは小型化がトレンドだ。そして、宇宙にモノを持っていく唯一の方法がロケットだから、その需要も大きい。
小田さんは「宇宙産業において、日本はポテンシャルが高い国」だと指摘した。その理由に、東と南が海に開けているロケット発射における地理的優位性、技術力とサプライチェーンを挙げる。
「日本には自動車産業で培われた技術力とサプライチェーンが備わっていますから、宇宙開発において世界一のポテンシャルがある。それなのに現状で後れを取っているのは、圧倒的なロケット発射数の不足です。だから、産業としてスケールできない。こうした課題を解決しようというのが、弊社の取り組みのねらいです」
実用化されれば、低コストでロケットの打ち上げを実現できるという。そうなれば、いよいよ宇宙時代の幕開けとなるのだろうか。