社会学者の古市憲寿さんが2024年3月6日、ライドシェアをめぐる海外と日本の現状を比較し、「日本は何にも変わってこなかった」「すぐに解禁されると思ったらそうじゃなかった」などとXで私見を述べた。
ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車を用いて有料で人を運ぶことだ。日本では24年4月から、タクシー会社管理のもとで部分的に解禁される。
「『タクシー』の文字は消え、ほとんど『ライドシェア』に」
古市さんは投稿で、ラスベガスとロサンゼルスを訪れて東京に戻ったと報告すると、「『タクシー』の文字は消え、ほとんど『ライドシェア』に」と現地の様子を説明した。「海外に行ったことのないひと、ライドシェアを使ったことがないひとほど、日本国内での導入に反対が多いという。そりゃそうだよね」と続けた。
一方で、「自分の言葉の通じない国に行った時に、Uber(編注:配車サービス)に救われた経験のあるひとは多いと思う」としている。ライドシェア普及前、郊外の駅でタクシーが見つからないことがあったといい、「知らない言葉の国で駅までタクシー来てくれって伝えるのはなかなか難しかった」と振り返った。
古市さんは、「ニューヨークでもパリでも、ライドシェア普及前のタクシーは本当にひどかった」とも回想する。当時は運転手が宝くじを買うために遠回りされたこともあったとし、「そのたび、いちいち交渉するって本当に疲れてた」という。
「タクシードライバーにとって、一度しか乗らない観光客からは、できるだけ高いお金を
取るのが合理的な行動になってしまう。まず会社や組合に文句を言うことはないわけだから」と私見。Uberアプリなどで用いられる「相互評価システム」は「発明だと思う」と感心している様子だ。
「何でもない制度でさえ、変わるのにめちゃくちゃ時間がかかる」
古市さんは、「そんなことに感動してからもう10年くらいが経つ。その10年で日本は何にも変わってこなかった。ひたすら新しいものを排除しようとしかしてこなかった。ライドシェアくらいすぐに解禁されると思ったらそうじゃなかった」とも指摘。下記のように嘆いた。
「社会保障とかに比べたら何でもない制度でさえ、変わるのにめちゃくちゃ時間がかかる。だって、解禁されても損するひとはごく一部なのだから。(ライドシェアが嫌なひとは使わなければいい) 高齢化したこの国にとって、変わるということが、とんでもなく難しいことになってしまった」
Uberは日本でハイヤー車両の配車も展開しているものの、24年3月1日から一部機能を用いた場合、東京・羽田空港第3ターミナルからは乗車することができなくなった。古市さんはこれについて「タクシー乗り場を拡張するためらしい」と説明すると、「こういう既得権益ってこの国にたくさんあるんだろうな。。。」と述べた。
実業家の堀江貴文さんは6日にXで、古市さんの投稿を引用リポストし、「ライドシェア推進派は具体的な金銭的メリットとかないからロビー活動とかしないけどタクシー業界は死活問題だから必死にロビー活動するわけで、そりゃなかなか勝てないよね」と私見を伝えた。
ラスベガスとロサンゼルスに行って、いま東京に戻ってきた。街中から「タクシー」の文字は消え、ほとんど「ライドシェア」に。
— 古市憲寿 (@poe1985) March 6, 2024
海外に行ったことのないひと、ライドシェアを使ったことがないひとほど、日本国内での導入に反対が多いという。そりゃそうだよね。…