「マイナス金利」の時代が終わる――そのような言説が、2024年に入ってからしばしば聞こえてくる。日本銀行が今年、利上げに踏み切るとの憶測が広がっているからだ。そうなれば、国民生活にも影響が出る。中でも住宅ローン金利は、無視できない。
もしも住宅ローン金利が上昇した場合、新たにローンを組むなら利率は固定と変動、どちらを選ぶべきだろうか。
「基本的には変動金利にすべき」そのワケは
住宅ローンを組む際の永遠のテーマとも言えるのが、金利を固定にするか、変動にするか。答えが出ないようにも思えるが、住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営するMFSで取締役COO(最高執行責任者)を務める塩澤崇氏に取材した。
日銀がマイナス金利政策を終えて住宅ローンの金利が上がり始めた場合、新たにローンを組むなら「基本的には変動金利にすべき」と話す。
塩澤氏は1つ目の理由として、「住宅ローンの返済開始から10年間で35年間の金利総額の半分を占める」である点に着目。最初の10年間は元本の額が大きいため、多額の金利が発生する。そこで、
「この時期は低い金利で返済を続け、走り抜けるべきです。現在、固定金利は1.8%から1.9%ほど。対して、変動金利は0.3%から0.4%が相場です。35年間の金利総額を抑えるには、変動金利が望ましいのです」
マイナス金利政策が終わっても...
2つ目の理由に挙げたのは、固定金利と変動金利の逆転が起こるとすれば、それはまだはるか先という点だ。
「今年、日銀が利上げに踏み切ったとしても、変動金利が固定金利を上回るには、マイナス金利が終わってゼロ金利となり、そこから、利上げの一般的な幅である0.25ポイントずつ上げたと仮定した場合、利上げが計7回必要だからです。1回目の利上げへの動きすらこれだけ慎重に時期を見ています。『7回目はいつになるのか?』と考えれば、マイナス金利が終わったからといってすぐに固定金利で新たなローンを組むべきだ、とはなりづらいのです」
最後に、塩澤氏はこうも指摘した。
「加えて、我が国は少子高齢化が進んでおり、いずれ需要減少時代を迎えるでしょう。経済にデフレ圧力がかかることが予想されます。マイナス金利政策が終わっても政策金利が順調に上がり続けるかというと、それは難しいのではないでしょうか」
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)