プロボクシングの元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏(68)が2024年3月3日にユーチューブを更新し、5月6日に東京ドームで開催される世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)対元世界2階級制覇ルイス・ネリ(メキシコ、29)戦に言及し、井上が警戒すべき点などを独自分析した。動画は世界タイトル戦が3月6日に正式発表される以前に収録された。
川島氏「僕の心情としてはコテンパンに倒してほしい」
元WBC世界スーパーフライ級王者・川島郭志氏(53)をゲストに招いて進行した。具志堅氏と川島氏はともにネリと同じサウスポーで、現役時代の自身の経験をもとにネリの攻略法などに言及した。
具志堅氏はネリ戦に関して「すごい注目するんじゃない」とし、その理由として過去にネリが日本で犯した2度の失態を挙げた。
「山中選手との世界戦で悪いことをしちゃったからね。やっちゃいけないことを。敵討ちをみんなが期待していると思うんですよ。だから見ると思いますよ。(ネリが日本で試合をするのは)無理かと思った。日本は厳しいから。いろいろ悪いことを2回もやっているし。3回目(の来日)はないかなと思いつつ了解を得たんでしょうね」
川島氏は「僕の心情としてはコテンパンに倒してほしい」と井上の強打に期待を寄せた。
ネリは17年8月と18年3月に来日しており、対戦相手はいずれも山中慎介(帝拳)だった。挑戦者としてWBC世界バンタム級王者・山中に挑んだ初戦は4回TKO勝利で王座を獲得するも試合後にドーピング疑惑が浮上。試合を統括したWBCはネリの検体から禁止薬物の陽性反応が出たことを認めるも、故意に摂取した確証が得られないとして処分しなかった。
「12ラウンドまではやらないと思う。KO決着だと思います」
2戦目は試合前に失態を犯した。前日計量でまさかの体重超過で王座をはく奪された。試合は山中が勝てば王座獲得、ネリが勝利した場合は王座が空位になるという変則的な形で行われ、ネリが2回TKOで勝利。体重超過を重く見た日本ボクシングコミッション(JBC)は、ネリに対して無期限の資格停止処分を科した。JBCは24年2月にネリのライセンス資格回復を認めることを発表した。
山中との世界タイトル戦を現地で観戦したという具志堅氏は「体重をすごく上げてくると思う。バンタム級(リミット53.5キロ)の(世界タイトルマッチの)時に会場にいたけど(2階級上の)フェザー級(リミット57.1キロ)くらいの体をしていましたから。リングの中で。そういうことがあるからどれだけのパワーで戦うか。パワーは半端じゃない。バネがすごくある」との見解を示した。
中南米のボクサーには計量後に一気に体重を増やしてリングに上がる者がいる。中には6キロ以上も増量する選手もいるという。具志堅氏の目にはネリもそのようなタイプに映ったようだ。
具志堅氏は「ボクサーはリングの中で性格も出る。彼(ネリ)は1ラウンドから行く。ボディーで倒された時(21年5月のフィゲロア戦)もそう。すごい試合をしているなと思ったら1発のボディーで倒れた。でも危険もある。ラッキーパンチをもらった時も怖いからその辺も慎重にやると思いますよ」とした上で、「12ラウンドまではやらないと思う。KO決着だと思います」と予想した。