紙芝居をアニメ化、DVD付き絵本は米スタンフォード大でアーカイブ
「浪江まち物語つたえ隊」は14年、有志も参加して本格結成となる。紙芝居作品は、次々に生まれた。津波や原発事項で、浪江の住民が苦労してきた実話が下地となっている。八島さん自身の体験も題材となった。飼い猫と避難所では一緒に住めず、つらい思いをした話だ。
活動は話題となり、北海道から沖縄まで全国から上演会のリクエストが届いた。紙芝居をアニメ化して、より大勢に触れてもらえるよう工夫。17年にはフランスで、アニメ作品を上映した。さらに「DVDアニメ付き絵本」も制作、米スタンフォード大学がアーカイブしている。
各地から、紙芝居へのオファーは絶えない。一方、八島さんは本業の仕事を抱え、忙しい日々だ。それでも、ふるさとで起きた震災を「忘れてほしくない」という気持ちを原動力にする。最近は、メンバーの一人がかつて住んでいた浪江の自宅の納屋を改装して「上演会場」として利用。道の駅といった施設も拠点に、地元・浪江で見てもらえるようになった。
日本では自然災害が頻発している。そして、24年元日の能登半島地震。つらい体験だが、後世に伝えていく教訓は多い。紙芝居という手法が近年では、各地で防災教育に役立てられていると八島さん。印象に残れば、災害時に自分の身を守る、避難する、といった行動に結びつきやすくなるだろう。
(J-CASTニュース 荻 仁)
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東日本大震災から、2024年3月11日で13年を迎えます。元日に能登半島地震が起き、今年は強く震災を意識せざるを得ない春となりました。
岩手、宮城、福島をはじめ大きな被害にあった被災地の人々は、長い年月をかけて一つ一つ、町や暮らしの再建を積み重ねてきました。その知恵と取り組みは、能登をはじめ、災害でダメージを受けた人々のヒントになるはずです。13年の歩みを今一度振り返ろうと、今年もJ-CASTニュースは東北で人々の声に耳を傾け、連載の形で読者の皆様にお届けします。