北海道の回転ずしチェーン「トリトン」が、東京都内3店舗目となる「アトレ品川店」を2024年2月、オープンした。「トリトン」は、オホーツク直送の新鮮さと、大ぶりに切られたネタが人気だ。
同じ北海道の回転ずしチェーンが都内に展開している例に、「根室花まる」がある。都内では回転ずしや立ち食いずしの業態で展開しており、合わせると10店舗を超える。北海道発のこうしたチェーンが、スシロー、はま寿司、くら寿司などの大手を脅かす可能性は。
CM流さず口コミで集客
「トリトン」は、北海道北見市の北一食品が運営する。北海道のオホーツク管内に3店舗、札幌市内に10店舗、都内に3店舗を営業。地元北海道の魚介類を新鮮なまま、大ぶりでも食べやすい大きさ、見た目の美しさにもこだわったすしを提供している。北海たこ頭や白つぶ、サーモン、ほっきなどが好評を得ているようだ。
「根室花まる」は1994年、北海道根室市で開業。根室管内では2店舗。札幌市内で回転ずしが7店舗、都内では回転ずしで3店舗、立ち食いずしで7店舗を運営している。漁師町「根室」から出店していることを忘れず、ネタの鮮度にこだわり、オープンキッチン形式の調理場から賑わいをつくる。公式サイトでおすすめ商品をみてみると、にしんややりいか、が並ぶ。
いずれも、テレビやラジオでCMを流していない。口コミにより集客しているのだという。
都内には、大手チェーンのスシローが62店舗、はま寿司は21店舗、くら寿司は59店舗ある。トリトン、根室花まるとも、店舗数ではかなわない。だが、海鮮で「北海道」のブランドは強そうだ。顧客の奪い合いは起き得るのか、回転寿司評論家の米川伸生氏に聞いた。
すると「基本的に客層が全く違います」と話す。
「客単価では倍以上の開きがあり、大手チェーンに行くコア層は、ほとんど『トリトン』や『根室花まる』のようなグルメ回転ずしには行きません」
そのため、地方から東京に進出したすしチェーンは「安さ」で勝負していないので、大手対策はほとんどしていないというのだ。
「その時期にその地方でしか食べられない魚」が強み
地方チェーンの回転ずしの強みは、「『その時期にその地方でしか食べられない魚』や、ご当地性のある商品」を売りにしていると米川氏。
「『トリトン』や『根室花まる』のようなグルメ回転寿司は、各店舗で『朝どれ』の鮮魚をさばいて仕込み、職人が握って提供するスタイル。しっかりとした握りずしが食べられるのが、人気の一因です」
実は両店とも、インバウンド客が非常に多いという。海外から求められる日本のすしを、「お値打ち価格で食べたい」というニーズを満たしているようだ。