衝撃の調査「中高年女性正社員は4割が未婚」
――ところで、シングル女性の将来の「貧困リスク」に関連して、「中高年女性会社員は4割が未婚」(2024年1月22日付)という非常に衝撃的な調査を発表していますね。
私はこれを読み、ショックを受けました。【図表5】を見ると、女性正社員では40代後半で約42%、50代前半で約46%、50代後半で約39%の人が未婚という結果です。正社員として会社に残るために、結婚をあきらめなければならなかった(?)女性がこれほど多いのか、と。
坊美生子さん 今回のアンケートでは、総合職より一般職の方が、未婚の割合が大きいという結果が出ました。国勢調査では、40代後半から50代の正社員女性の未婚割合は15%~24%ほどですが、私たちの調査では、大企業で働く女性に限定したことや、回答者に占める一般職の割合が約8割と大きいことから、未婚割合が高めに出ている可能性があります。
現在の中高年の世代では、多くの女性が結婚・出産を機に退職していたため、結果的に、会社に残っている女性は「未婚」が多いと考えられます。特に、現在の50歳代以上は、育児休業が法制化される以前に出産期を迎えた人が多いため、出産退職が多かったでしょう。
そして、いったん退職した女性が再就職する時には、パートなどの非正規が多いというのが実情だったと思います。つまり、「未婚が4割」という数字は、日本では女性が結婚・出産を経て、中高年まで会社で正社員として働き続けることが、いかに困難だったかを示しています。
――ひどい話ですね。
坊美生子さん 私にとってもショッキングな調査結果で、このリポートを執筆しつつ心が苦しくなりました。
「未婚」であること自体がいい、悪いということではありませんが、中高年女性にとって、「働き続ける」ということが、結婚や出産とのバーターとなってきたということ、ライフステージを上がるためには、どちらかを「選択」しなければならなかったという状況には、胸が痛みました。逆にいえば、未婚であるほうが、転勤や残業などがある正社員の仕事を続けることに、有利であったともいえるのですから。