「自分が成長できる」プラス面を発信してほしい
――なるほど。しかし、働き方改革によって、さまざまな雑用のしわ寄せが管理職にきていますよね。
坊美生子さん その問題も時間とともに変わるでしょう。現在、働き方改革は過渡期です。やがて企業における残業の見直しは、管理職にも浸透していくでしょう。
現在、管理職が抱えている多くの負担も整理されていくべき時期に来ています。そうしないと、本当に管理職のなり手がいなくなります。管理職自身の業務の在り方や働き方の見直しをしないと、特に女性はやりたがりません。
――ほかにも何か必要なことがありますか。
坊美生子さん 管理職に対するプラス面を伝えていくことも、ひとつの手だと思います。各企業の管理職登用研修などで、管理職を経験した女性たちが「管理職って大変だけど、自分自身の成長につながった」と積極的に発信すれば、裾野の女性たちの意識も変わっていくのではないでしょうか。
<「女性は『管理職』を目指さなければならないのか」 あなたの人生と、「おひとり様」老後の貧困回避のため(2)/ニッセイ基礎研究所の坊美生子さん>に続きます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
坊 美生子(ぼう・みおこ)
ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員
2002年読売新聞大阪本社入社、2017年ニッセイ基礎研究所入社
主に中高年女性の雇用と暮らし、キャリアデザインを研究。日本は世界の中でもジェンダーギャップが最低ランクで、働く女性の賃金や老後の年金にも大きな男女格差があり、老後の女性の貧困リスクは増している。
そこで、女性がもっと自然体で、自律的に、生き生きと暮らしていくためには、社会全体のジェンダーギャップ解消が必須と考え、多くの研究リポートを発表。また、生活者の視点から、高齢者が利用しやすく、外出促進につながる移動サービスのあり方についても研究。
現在、「次世代自動車産業研究会」幹事、日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員。