「女性は『管理職』を目指さなければならないのか」 あなたの人生と、「おひとり様」老後の貧困回避のため(1)/ニッセイ基礎研究所の坊美生子さん

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自分の都合で仕事をコントロール、子育てもラクに

   J‐CASTニュースBiz編集部は、ニッセイ基礎研究所研究員の坊美生子さんに話を聞いた。

――管理職経験のある女性の約7割が「自分の人生にとってプラスだった」と総括しているとありますが、精神的によかったというところが、とてもいい話ですね。なかなか、男性ではこうはいかないかもしれません。

坊美生子さん 共同研究では、アンケートと同時並行して企業へのインタビュー調査を行いましたが、ある企業の女性は、「若い人に伝えたいのは、管理職になると責任は増えるが、それによって見えるものが違ってくる。自分の人生にプラスになる」と語っていました。

彼女の話がとても印象的で、実は同じようなとらえ方をしている管理職経験者が多いのではないかと思ったので、アンケートの中に設問を入れました。その結果、管理職の業務自体を評価する見方は4割にとどまったのですが、7割が「人生にとってプラス」と答えているので、もっと内面的なもので満足したということですね。

女性と男性とでは、仕事に対するモチベーションが違うという研究があります。男性の場合は、「地位や給料が上がる」といった「外発的な動機」が大きいとされています。

しかし、女性の場合は「自分の成長につながる」といった「内発的な動機」が大きい傾向があります。従って、管理職に就くことで「初めて管理する側になり、これまで知らなかったことが分かるようになった」とか「視野が広がった」といった、自身の人間的成長につながるような経験ができたことを、プラスととらえているのではないでしょうか。

――なるほど。管理職になると、「自分が成長できる」という心の喜びが大きいというわけですね。

坊美生子さん そのとおりです。しかし、それと同時に別のメリットもあるのです。

インタビューに答えてくれた別の企業の女性は「マネジャーになると、自分で仕事の締め切りやスケジュールを設定できるから、自分の子育てやプライベートの都合と調整しやすくなる」と言っていました。一般的には、管理職になると忙しくなるので、仕事と家庭の両立が困難になる、と考えられがちだと思いますが、むしろ逆だったというわけです。

チームの仕事でも、自分の都合に合わせて全体をコントロールできる点が、
家庭を持つ女性管理職にとって良いところ、というわけですね。部下の立場だと、そうはいきません。
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