日本株「4万円突破」の落し穴...「井の中の鯨」米国バブル崩壊の大波の恐怖とは/第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生さん解説

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AIと半導体ブーム、米国の異常な株価上昇

熊野英生さん(本人提供)
熊野英生さん(本人提供)

   J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめた熊野英生さんに話を聞いた。

――ズバリ聞きます。日経平均株価が4万円を突破しましたが、先行きはどうなりますか。どこまで上がるでしょうか。

熊野英生さん 明日(2024年3月5日)の朝刊を見ると、一面に「日経平均株価4万円突破」の大見出しが躍り、みんな一直線に上がっていくだろうと思いがちになりますが、そうはいきません。今年ほどイベントが多い年は滅多にないからです。

まず、2週間後の3月19日に日本銀行が政策決定会合を開き、金融緩和政策の修正を行う可能性があります。また、おそらく6月には、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを開始するでしょう。この日米の金融当局の政策変更はビッグイベントです。

5月には日本企業の決算報告が相次ぎます。果たして好調を維持する結果がでるかどうか。そして、11月には米大統領選挙が行われます。トランプ氏が返り咲くかどうかがカギになります。

株価はこうしたイベントを織り込みながら、上下のジグザグ運動を繰り返すもので、一直線に上がったり、また下がったりすることはありえません。

――リポートのタイトルに、「エブリシング・バブルの香り」という面白い言葉を付けていますね。

現在、株式、債券、商品、暗号資産、不動産などの各種資産が総じて上がっています。「何もかも上がる」から「エブリシング(何もかも)・バブル」なのでしょうか。

これもズバリ聞きますが、現在の日本株はバブルなのでしょうか。

熊野英生さん 日本がバブルなのではなく、米国がバブルなのです。

日本はその米国の株価上昇の影響に引きずられているため、上昇し続けています。「エブリシング・バブル」という言葉はトルコ出身のアナリスト、エミン・ユルマズ氏の本『エブリシング・バブルの崩壊』(集英社)から付けました。

コロナ禍で始まった巨大な財政出動と金融緩和によって、世界的に過剰な緩和マネーが物価上昇圧力を生み出しているという見方です。特に顕著なのが、米国マネーのデータです。

【図表3】は、米マネーストックM2(通貨供給量の指標の1つ)ですが、現在、FRBが大幅に金融引締めを続けているにもかかわらず、15%も過剰です。
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