2024年元日から始まった「新NISA」(少額投資非課税制度)。年初からの株高も手伝ってか、これまで株取引とは無縁だったとみられる層からも関心が寄せられているようだ。
だが、株取引が未経験なら、利益が出た際の納税や損失が出た場合の後始末は気になるところ。公認会計士・税理士の足立武志氏に解説してもらった。
売却益は確定申告不要、配当金は?
会社員が新NISAで株式投資を行う場合、2025年の確定申告の時期にどうすべきか――。この想定で、足立氏に聞いた。まず、新NISAで利益が出た場合。
新NISAは従来のNISAと同様、「NISA口座」を金融機関に開設し、それを通じて株式を売買する。「利益が出る」とは、売却益が出た場合と配当金を受け取った場合がある。
売却益については、NISA口座がそもそも非課税なので確定申告する必要性はないと足立氏は説明。配当金の場合は、4種類ある受け取り方法のうち、「株式数比例配分方式」にすることで非課税になり、やはり確定申告は不要だとした。
損失出た、節税できる?
一方、損失が出た場合はどうだろうか。足立氏は、NISA口座が非課税である以上、やはり確定申告をする必要はないと説明。ただ、覚えておいて損はないポイントがある。
会社員が通常の株取引で損失を出した場合、確定申告を行う義務はないが、確定申告を行い「損益通算」や「繰越控除」という制度を使うことで節税ができる。ところが、NISA・新NISAは取引により生じる損益自体が非課税、いわば確定申告する・しないという概念そのものがない。そのため、損失そのものも税務上は「なかったことにされてしまいます」。結果、「損益通算」「繰越控除」制度は利用できない。
出してしまった損失が、家計を直撃することになるわけだ。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)