「FAメーカー栄えて労働者が泣く」なんてことも?
2つ目の理由は「日本が得意とする自動化の分野は、働く人を削減する方向に機能するから」というものだ。
「これは時価総額4位のキーエンスや、同43位のファナック、60位のニデックなどからの連想ですけど、ファクトリー・オートメーション(FA)、つまり工場の自動化が進むと、製造業の会社は生産性が上がって儲かりますが、工場労働者の需要は減りますよね。FAメーカー栄えて労働者が泣く、なんてことがあるんじゃないかと。とはいえ、すでに人手不足が深刻な現場もあるので、AIの活用を含め、完全自動化の流れは今後急速に進むでしょうね」(※時価総額は2024年3月1日現在/以下同)
3つ目は、元も子もない話だが「日経平均株価」という指標自体があてにならない、というものだ。
「そもそも日経平均株価とは、旧東証一部の東証プライム市場に上場する約2000銘柄のうち流動性の高い225銘柄を、日本経済新聞が選定して算出したもの。銘柄の入れ替えも結構あって、現在時価総額4位のキーエンスが村田製作所や任天堂とともに日経平均に採用されたのは、2021年とごく最近の話なんです」
3位の東京エレクトロンが採用されたのは2000年、7位のファーストリテイリングは2005年、9位のソフトバンクが2004年。「日経平均の連続性なんてほとんどないし、バブル期と比較する意味もないんです」というのがAさんの見方だ。