2024年2月22日、ついに日経平均株価の史上最高値が更新された。これまでの最高値は、バブル経済真っ盛りの1989年12月29日の3万8915円。これが新たに3万9098円に塗り替えられた。さらにその後も、連日の最高値更新となっている。
とはいえ、株価が上昇しても「経済が上向いたという実感はない」という人がほとんどで、「給料もぜんぜん上がっていない」と嘆く声もよく聞かれる。なぜなのだろうか。
「トヨタの海外販売比率は85%超。日本市場はもはや傍流」
都内のIT企業に勤めながら株式投資を長年行っている男性Aさんによると、投資界隈では3つの理由が考えられているという。1つ目の理由は「株価好調の背景にある企業の好業績は、海外市場によるものだから」。
ANN NEWS(テレビ朝日系列)の報道によると、企業の純利益は1989年度の約18兆円から2022年度の約74兆円へと約4倍に増加。一方、労働者の平均給与は1989年の約402万円から2022年の約457万円になったが増加率は1.1倍に過ぎない。
会社が儲かっているのに給与が上がらないのはおかしいと思ってしまうが、Aさんは「時価総額ランキング1位のトヨタで見てみれば、それが勘違いだとわかる」という。
企業サイト「トヨタ自動車75年史」によると、トヨタの海外販売比率(台数)は、1975年には38%、1989年には48%にとどまっている。それが2002年になると70%、2007年には80%を突破。直近では85%を超えている。
もはやバブル期とは同じ会社とはいえないほど状況が変化しているが、本社は日本にあって社長も日本人。海外の稼ぎを日本人の手柄にして業界の給与水準をもっと上げてもいいのではと思うが、そうはいかない事情があるという。
「自動車メーカーはGAFAのようなIT企業と違って、1台1台に多額の製造原価がかかるし販売にも人手がかかるので、生産・販売台数に応じたかたちで収益を分配する必要があるのです」
日本市場の割合は15%未満ということは、世界的に見てもはや傍流ともいえる。Aさんは「このまま減っていけば、日本人社員の給与が減るおそれすらあるのではないでしょうか」と懸念を示す。