米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の結婚を報じた新聞号外が、フリマサイトで大量に出品されている。昨年は、プロ野球・阪神タイガースの18年ぶりリーグ優勝を伝える号外が転売された。同様のケースが相次いでいるのだ。
日本大学文理学部教授・仲川秀樹氏(マスコミ論)に、無料の号外をフリマサイトで購入する行為について取材した。号外は「無料の紙媒体」というイメージだけでなく、購入者に付加価値を与えるようになったと説明する。
無料の号外が1000~2000円
大谷選手が結婚を発表した翌3月1日、フリマアプリ「メルカリ」を確認すると、結婚を報じた新聞の号外が数多く販売されていた。価格は1000円~2000円程度に設定されており、既に取引が終了しているものもあった。
転売された号外を発行する岩手日報が1日、取材に応じた。バックナンバーを販売するサイトで同日付の朝刊を買えば号外も入手できると、公式サイトで案内していると話す。本社などでも希望者に配布しているという。
無料の号外を転売する行為が、同社の収益に影響を与えているわけではない。同社は積極的に対策を講じてはいないが、業界内では転売行為に対する意見も上がっていると、担当者は話す。
無料で配布される号外を高額でも買おうとするのはなぜなのか。前出の仲川教授は、(1)歴史的な出来事に参加できたという意識が生まれる、(2)他人とコミュニケーションする一つのツールになる、(3)他の人が持っていないものを持つ優越感が得られる、と指摘する。
号外の転売行為「良い傾向ではない」
今回の号外購入は、「いま、最先端の話題に自分も参加している」という心理があると分析。「自分も号外を手に取りたい。その世界に自分も乗り遅れたくないという背景があると思います」。こうした意味で、号外には「付加価値」があるという。
一方、号外の転売行為は「良い傾向ではない」とも指摘。本当に号外を手にしたい人々が手にできず、そうした気持ちにつけこむようなビジネスでもあると述べている。