自民党が裏金問題で迷走する中で、岸田文雄首相が同党総裁として自ら衆議院の政治倫理審査会に出席したことが、注目を集めている。
政倫審で質問に立った野田佳彦元首相(立憲民主党)は、党内の迷走があっての出席ではないかと岸田氏の指導力に疑問を呈した。一体なぜ岸田氏は政倫審に打って出たのか、何か勝算はあるのかについて、識者に話を聞いた。
パーティーやらない明言も、裏金の経緯などは説明できず
「私は、疑惑を持たれた議員が弁明をする場である政治倫理審査会に、内閣総理大臣が出席しているということ自体に、強烈な違和感を覚えます」
野田氏は2024年2月29日、現職首相と元首相の対決と話題になった政倫審で、岸田氏にこんな思いを明かした。
前々日には、安倍派などの幹部2人が公開審議に難色を示して開催がいったん流れたことを念頭に、こう突っ込んだ。
「身内同士の駆け引きで調整が大変になってしまって、政治倫理審査会の開催、あるいは公開するかどうかを巡って迷走したからこんな状態になったのではないですか。自民党のガバナンスの問題だと思います」
これに対し、岸田氏は、政倫審は本人の意思を尊重しており、与野党が議論を続けて開催の見通しが立たないため、党総裁として出席することで説明責任を果たし、国民の厳しい目に政治が答える努力をしなければならないと決意したと説明した。
岸田氏はその後、在任中に何度もパーティーを開くのは問題だと野田氏に追及されると、「在任中はやることはない」と自らのことは明言した。とはいえ、他の議員らから安倍派の裏金が始まった経緯などを聞かれると、「確認できなかった」などと述べるに留まり、何も新しいことがないと批判されていた。
岸田氏が前例のない政倫審出席に踏み切った背景について、政治評論家の有馬晴海さんは29日、J-CASTニュースの取材に次のように解説した。