中間管理職の負担が、どんどん重くなっている――。人材育成会社のリクルートマネジメントソリューションズの調査で、こんな結果が出た。なぜ過剰な負荷がかかるようになったのか。
同社の木越主任研究員はJ-CASTニュースBizの取材に、管理職の役割範囲が1980年代から現在にかけて拡大し続けていると説明。背景には、マネジメントと現場の業務を兼任するようになり、人材の配置や育成などにおいて担う役割も広がったことにあるという。さらに詳しく聞いた。
必ず成果をあげなくてはいけないプレッシャー
リクルートマネジメントソリューションズは23年9月25日、マネジメントに対する人事担当者と管理職の意識調査結果を発表した。これは同年6月に実施し、人事担当者と管理職各150人を対象にしたインターネット調査だ。
人事担当者65.3%、管理職64.7%が、組織課題として「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」と回答。両方でトップだったのは、2020年に調査開始してから初めて。その他、「次世代の経営を担う人材が育っていない」「中堅社員が小粒化している」がある。
管理職にはどのような負担があるのか。取材に対してリクルートマネジメントソリューションズは(1)成果を出すことへの要請の強さ(2)見通しを立てることの難度の高まり(3)職場におけるメンバーの多様化――があると説明した。
四半期の目標を達成しながら、2~3年後の構想も行う必要がある。必ず成果をあげなくてはいけないプレッシャーから、現場の業務も担う。変化の激しい環境において、計画を立てる難しさが増している。年下や年上の部下に合わせたマネジメントも求められる。管理職はそんな環境に置かれている。
「チームで考え、柔軟に価値を生み出す」組織へ
1950年代、管理職の役割は部下の業務監督が中心だった。80年代になると、組織内や外部との関係を調整したり、中長期の業務を主導したりする役割も加わる。2000年代以降には、人的資本管理やプレイング業務と、さらに役割が広がり続けて負担が増えている。
リクルートマネジメントソリューションズは、管理職の業務の量・質ともに軽減する必要があると述べる。量で言えば、例えば、他部署が仕事を引き受けるといった対処法だ。また、管理職ではなくチームで試行錯誤することも重要だという。
「『マネジャーが決めたことを素早く実行する』組織から『チームで考え、柔軟に価値を生み出す』組織へと変わることで、管理職の負担を乗り越えていくことを指向します」