春の観光シーズンが近づいてきた。家族旅行や大学の卒業旅行に海外旅行を計画している人も多いだろう。
国民生活センターは、海外渡航の際に必要となるESTA(エスタ)などの電子渡航認証システムのトラブルが急増しているため、2024年2月20日、「ESTA等電子認証トラブルあるある」という警鐘を鳴らすリポートを発表した。
申請代行事業者のサイトを公式サイトと勘違いして、余計な手数料を払って泣かないよう、気持ちよく旅行を楽しむコツを担当者に聞いた。
検索上位にくる「申請サイト」で申し込むと...
電子渡航認証「ESTA」(エスタ、Electronic System for Travel Authorization)とは、米国国土安全保障省によって2009年から義務化されたシステムだ。
米国に観光や短期商用で90日以内の旅行する場合、査証(ビザ)を免除するかわりに、渡航が危険ではなく安全なものと判断するため、渡航前にオンラインで渡航認証を受けなければならない。
「ESTA」の公式サイトは、滞在日数や目的、犯罪歴の有無、感染症にかかっていないこと、などを打ち込むもので、申請費用は21ドル(2024年2月27日現在1ドル=約150円、約3150円)で済む。同様の電子渡航認証は、カナダのeTA(イータ)、豪州のETA(イータ)、韓国のK-ETA(ケーイーティーエー)などがある。
また、2025年からは欧州の約30か国でETIAS(エティアス)の導入が予定されているなど、電子渡航認証が必要な渡航先が増えている。
ところが、国民生活センターによると、申請を行う際に、公式の申請サイトと思ったら、実は申請代行事業者のウェブサイトで、余計な申請手数料を含めた高額な請求をされるトラブルが近年、相次いでいる。
代表的な事例は次のとおりだ。
【事例】
米国に旅行するために、ESTA(電子渡航認証システム)を申請しようとネットで検索をして、一番上に表示されたサイトで申請を行った。申請費用は21ドル(約3000円、当時)のはずだが、クレジット決済をした明細を見ると約1万円が請求されていた。
サイトをよく確認すると、公式サイトではなく、申請代行サービスを行う事業者のサイトだった。申請手続は確かにできたが、サイトの作りが公式サイトとよく似ていて紛らわしい。
自分で公式サイトから申請すれば手数料を支払う必要はなかった。手数料を返金してもらうにはどうしたらいいか。(2023年9月・20歳代男性)
こうしたトラブル相談が、2023年5月に新型コロナが5類に移行し、海外渡航が盛んになってから、うなぎ登りに増えているという【図表】。