2025年卒大学生・大学院生の就職活動が早くも過熱している。
リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2024年2月16日に発表した「就職プロセス調査(2025年卒)『2024年2月1日時点内定状況』」によると、2月1日時点での内定率が23.9%と、現行の就活スケジュールになった2017年以降で最多となった。
焦らずに就活を進めるにはどうしたらよいか。同研究所所長の栗田貴祥所長にアドバイスを聞いた。
内定率、進路確定率ともに過去最速ペース
就職みらい研究所の調査(2024年2月1日~2月9日)は、2025年卒業予定の大学生(1720人)と大学院生(550人)の合計2270人が対象。
2月1日現在の内定率(大学生のみ)は23.9%(前年比4.0%増)と、現行ルールになってから最高になった【図表1】。文系が24.6%(前年比4.9%増)と、理系22.5%(前年比2.2%増)よりスタートが早い。また、男性が26.3%(前年比5.8%増)と、女性21.3%(前年比2.2%増)を上回っている。
内定取得企業数の平均は1.8社(前年は1.4社)。2社以上から獲得した人が約半数(48.3%、前年は26.1%)に達した。
スタートダッシュの早さを反映して、進路確定率も14.1%(前年比2.0%増)と過去最高になっている。
就職活動の動きは、全般的に早くなっている。2024年1月中に個別企業の説明会・セミナーに参加した人が31.2%(前年は29.9%)。また、2月中に予定している人は34.3%(前年は33.9%)だ【図表2】。
1月中に最終面接を受けた人が21.0%(前年は16.5)。また、2月中に予定している人が42.9%(前年は37.6%)といった案配だ【図表3】
企業の採用意欲高い、じっくりスケジュール確認
これほど早いペースで始まっている就職活動、焦らずに自分に合った会社を見つけるにはどうしたらよいか。J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった「就職みらい研究所」の栗田貴祥所長に話を聞いた。
――2025年卒の大学生の2月1日時点内定率が約24%と過去最高になっていますね。こんなにスピードアップした理由はどこにあるのでしょうか。
栗田貴祥さん 現行の就活スケジュールとなった2017年卒以降、最も高い数値となりました。これは企業側の採用意欲の高さから、選考、内々定・内定出しのスケジュールが前年よりも前倒しになっており、この高さになっている可能性があります。
また、エリア別で見ると、例年内定率が高かった関東よりも中部、近畿エリアのほうが今年度は高く出ています。その他地域の内定率も2023卒、2024卒に比べて高く出ており、エリアを問わず内定率が高いことがわかります。
こうしたことから、2025卒の2月1日時点の内定率は、業種や従業員規模を問わず、全体的に高くなっていると言えます。
――卒業年次前年の3月1日から採用広報解禁、6月1日から採用選考解禁というスケジュールがあるなかで、2月1日時点でこれほど内定が出ているのは、政府が要請している就活ルールが守られていないのではないでしょうか。
栗田貴祥さん おっしゃるとおり、今回の調査結果を見ると、必ずしも就活ルールが守られているとは言えない結果となっていると思われます。これにより、就活生の中には、企業の採用スケジュールが見えづらく、混乱を招いている可能性があります。
――調査報告には、学生からは「早期で決まっていく人が多い中で、自身の第一志望は3月までの情報解禁がまだなので続けられるか不安」「行きたい企業の採用スケジュールがはっきりしていない」という不安の声も。
こうした学生に今後、どうやって就活を続けていくか、心がまえや大切なことのアドバイスをお願いします。
栗田貴祥さん 2025年卒の学生に対する企業の採用意欲は高いですから、学生のみなさんは焦る必要はありません。しかも、企業が多様な採用日程を設定していることもあるため、学生のみなさんは志望企業のスケジュールなどを確認し、準備を進めていきましょう。
生成AI、自分らしい言葉を磨くツールに
――今年度からインターンシップ(タイプ3、4)の参加が、選考の評価材料になるなど、就活の制度が変わりましたが、こうしたインターンシップに参加したほうがよいのかも含めて、今後の就活での大事なポイントを何でしょうか。
栗田貴祥さん 2025年卒の学生の皆さんを対象とした「キャリア形成支援プログラム」はインターンシップを含む、4つに類型化されました。2025年卒の学生の皆さん向けのプログラムは、夏休み期間に主に開催されましたが、3月に実施される企業もあります。
学生のみなさんは、志望の企業や業界で行われるインターンシップ等や合同企業説明会、個別企業説明会などに参加され、情報収集と合わせて、その企業や業界とご自身とのマッチング度合いを確かめていただくことをおすすめします。
また、はっきりとした志望企業がある場合は、その企業の採用ページをこまめにチェックし、エントリー方法や選考スケジュールなどを確認して、選考の準備に臨んでください。
――前年度の就活生の間で話題になったのは、チャットGPTなどの対話型生成AI(人工知能)を就職活動に使うべきかどうかです。エントリーシートの作成や、自己PRなどに活用した学生が多い一方、逆効果になるのではと迷う学生も多くいました。就活生が対話型生成AIを就職活動に使うことについては、どう思いますか。
栗田貴祥さん 学生が生成AIを就活で利用するシーンとして想定できるのは自己PR、志望動機、エントリーシートの作成などです。時間短縮という意味では学生にとって有用なものだと思いますが、生成AIはあくまでもツールの1つです。
自己PR、志望動機、エントリーシートの作成のために、「自分の考えを相手に話し、そこから返ってくる反応を元に、さらに考えを深めていく」という、いわゆる「壁打ち相手」として利用して、より自分らしい言葉になるように磨いていただければよいのかなと思います。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)