日本株「4万円突破」なるか? 吉と出るか凶と出るか、ヤマ場は6月...「米国頼み」が日本の課題/第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生さん解説

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投資家心理をよく読む、日本銀行の深謀遠慮

――となると、「もしトラ」は米国経済に、他力本願の日本株にとっても上昇材料になりますね。

ところで、リポートで日本銀行の政策スタンスが日本株上昇に有利になっていると書いていますがどういうことでしょうか。

日銀は今年前半にもマイナス金利を解除するとみられ、日米の金利差が縮小して円高に転じ、日本株の下落につながるのではないですか。

熊野英生さん 日本銀行がマイナス金利解除に動くことは間違いない、とみています。しかし、最近、日銀は「マイナス金利を解除しても緩和的な金融環境が続く」と、市場に配慮した情報を積極的に発信しています。

たとえば、内田真一副総裁は2月8日に行った金融政策講演で、マイナス金利を解除した場合の政策金利について、「0.1%の利上げ」になると具体的な数字をあげています。そのうえで、「その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになる」と述べています。

米国の現在の政策金利は5.25~5.50%ですから、日本が0.1%程度上げたくらいでは何の影響もありません。海外投資家は安心して日本株を買い続けることができます。植田和男総裁は、そうした投資家心理をよく読んでいるのでしょう。

ただし、「君子豹変する」のは日本銀行の常ですから、安心はできませんが、ラジカルに動かないことは確かだと思われます。
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