日本株「4万円突破」なるか? 吉と出るか凶と出るか、ヤマ場は6月...「米国頼み」が日本の課題/第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生さん解説

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トランプ大統領復活は、株価上昇に好都合

米ニューヨーク証券取引所
米ニューヨーク証券取引所

――いずれにしろ、FRBが6月に利上げするか、どうかにかかっているわけですね。もし、6月に利上げしなかったらどうなりますか。

熊野英生さん 世界の株価がバーンと一気に下がるでしょう。「4万円の夢」もつゆと消えます。

昨年(2023年)12月にFRBが発表したドットチャート(今後の政策金利見通し)では、2024年中に3回の利下げが示されましたから、市場はかなり前のめりになり、株価に利下げを織り込んできました。

市場の期待は、当初3月の利下げ開始でしたが、6月に後ずれしています。それが6月にも利下げしないとなると、大混乱は必至です。6月が大きなターニングポイントになります。

私の最大の不安材料は、米国経済が強くなりすぎて、世界に与える影響が大きすぎることです。米CPI(消費者物価指数)の数字が市場予想からちょっと違ったからと、いちいち株価がバーンと上下に動くでしょう。

――その米国ですが、トランプ氏が大統領に返り咲く「もしトラ」が懸念材料です。

熊野英生さん トランプ支持者の合言葉が何か、ご存知ですか。「トランプに任せておけば大丈夫。いい落としどころを見つけてくれる」というものです。彼は、脅しで言うことと、実際にやることが違います。

最近、「再選したら、中国に60%超の関税をかけてやる」と発言していますが、そんなことをすれば米国国民が一番困ります。米国にとって中国は、メキシコ、カナダに次いで輸入製品が多い国で、米国民は60%もの消費税を掛けられる製品を買わされるようなものだからです。

2016年にトランプ氏が予想外に大統領選で当選した時は、ウォール街は震撼しました。しかし、実際は減税や財政出動を盛んに行ったため、ドル高が進み、株価が上昇する「トランプラリー」が始まりました。今回も11月の大統領選までトランプ氏優勢が続くと、同じことが起こる可能性があります。

私個人としては、歓迎したくない事態ですが、米国第一主義のトランプ氏のもとで地政学リスクが強まる恐れはあるものの、市場の一部は歓迎する動きになるでしょう。
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