若者が「タイムパフォーパンス」(タイパ)を重視する風潮が、ビジネス上でも顕著――。近年、こうしたメディアの指摘が増えている。働き方・仕事術に詳しい専門家も「若者世代は合理的に考えている」と、J-CASTニュースBizの取材に話す。
タイパ重視の姿勢は、仕事を効率的に進められる一方、コミュニケーションを希薄にすると説明。今後「さらに深刻になってくると思います」と警鐘を鳴らす。
お互い分かり合えなくなる恐れ
タイパとは、費やした時間に対する効果・満足度を意味する。出版社・三省堂が2022年に選んだ「今年の新語2022」では大賞に選ばれたワード。例えば、若い世代を中心に映画やドラマを倍速で視聴する傾向を指すときに使われる。
前出の専門家によれば、タイパ重視の若者世代は、在宅勤務やチャットでの連絡を希望したり、会議や勉強会を無駄に感じたりする傾向にある。現在40代前半までの世代も合理性を求めている。これに対して、40代半ばを超えると価値観が変わると指摘する。
「例えば、50代の人は(若者世代が在宅勤務を希望することなど)社会の動きとして分かっている。ただ、価値観としては理解できていないと思います。彼らがそうした働き方をしてきていないからです」
タイパ重視の傾向について、専門家は「無駄を省き、効率的に働きたいと思うのは普通だと思います。この傾向は加速していくでしょう」と話す。しかし、コミュニケーションが希薄化するリスクも深刻になると危惧する。
「意識しないと、コミュニケーションに費やす時間が減っていき、お互い分かり合えなくなる恐れがあります。その結果、人間関係が薄くなり、様々な歪みが生じると思います」
会議は意思決定をする場
経営者や役職者は、コミュニケーション不足になると他者の意見をきちんと聞いたうえで判断する機会が減り、意思決定を間違う恐れがある。部下のことも分からなくなるため、人が離れていきやすくなるのではないかと、専門家は述べる。
「お互いの考えを理解しあう会議や勉強会であれば、有意義です。会議は意思決定をする場です。しかし、情報共有だけで終わるなら無駄。減らした方がよいです」