放送作家の鈴木おさむ氏が、著書『仕事の辞め方』で提唱した「ソフト老害」が話題だ。2024年1月24日公開の雑誌「GOETHE」公式サイトでは、同氏自身が40代にして「老害化」していたと振り返った。若いころよりも大きくなった自らの発言力によって、若者たちが必死に考えてきたことを妨害するようになっていたと明かしている。
「40代で老害」とは、少々早すぎるようにも思える。だが、若くても後輩がいれば、つい威張ったりすることも。老害化するのに、年齢は関係ないかもしれない。
部活の上級生「1年生、なってない」も萌芽に
ワークスタイル研究家の川上敬太郎氏はJ-CASTニュースBiz編集部の取材に、「老害」と「老害化」はきちんと区別すべきだと語る。「老害」は、高齢者そのものを侮蔑的に表わす年齢差別的な意味。一方、「老害化」とは、自分が持っている権威や立場の強さを利用したハラスメント行為を象徴的に表す言葉と捉えるべきで、本来は使うべきではなく「『オーソリティー(権威)・ハラスメント』などと言い換えた方が良いものではないでしょうか」。
その上で川上氏は、極論を恐れずに言えば、中学校や高校の部活で上級生が「今年の1年生はなってない!」と批判することにも、老害化の萌芽は否定できないと話す。つまり、何歳であっても老害化は起こり得るとの見方だ。
老害化しやすい人物と、そうでない人がいるのか。川上氏は「本人の性格」「置かれた環境」という2つの要素では、性格の方が影響大だと語る。具体的には仕事の進め方などで「変化を好まない性格」は、危険度が高い。部下や後輩からの提案は往々にして「新しい」からだ。他にも、「間違いを認めない」「支配欲が強い」「思い込みが激しい」「人の話を聞かない」性格も危ないという。
「自分も老害化している」言うべきでない
一方、環境の要素としては、「ノウハウが確立された変化が少ない職場」「実力主義ではなく年功序列」を挙げる。これらを踏まえつつ、川上氏は老害化について「意識せずに行っているものも含まれる」と指摘した。
厄介なことに、老害化を防ぐ即効性のある策は思いつかないと川上氏。自らを客観視することは、とても難しいからだ。ただ一方で、「自虐の意味であっても、やたらと自分のことを『老害化している』とは言わない方が良いでしょう」。「自分も老害化してないか」などと、かえって若い世代の言動を縛ってしまう恐れもあるという。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)