会社支給スマホ「使う人わずか3割」の意外 なぜガラケーいまだに人気...最新ビジネス携帯事情は 専門家に聞く

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   会社で支給される仕事用のスマホ、あなたは使っていますか?

   モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年2月9日に発表した「2024年法人向け携帯電話の利用実態調査」によると、社用携帯電話の利用者は3割程度であることがわかった。

   しかも、「ガラケー」がいまだに根強い人気があるという。調査担当者に聞くと――。

  • ビジネスに使うスマホは?
    ビジネスに使うスマホは?
  • (図表1)勤め先で利用している携帯電話(MMD研究所調べ)
    (図表1)勤め先で利用している携帯電話(MMD研究所調べ)
  • (図表2)勤め先で利用している携帯電話:会社規模別(MMD研究所調べ)
    (図表2)勤め先で利用している携帯電話:会社規模別(MMD研究所調べ)
  • (図表3)社用携帯電話の契約キャリア(MMD研究所調べ)
    (図表3)社用携帯電話の契約キャリア(MMD研究所調べ)
  • (図表4)社用携帯電話の契約している端末(MMD研究所調べ)
    (図表4)社用携帯電話の契約している端末(MMD研究所調べ)
  • (図表5)社用携帯電話に行っている管理(MMD研究所調べ)
    (図表5)社用携帯電話に行っている管理(MMD研究所調べ)
  • (図表6)会社で利用する携帯電話の不満点(MMD研究所調べ)
    (図表6)会社で利用する携帯電話の不満点(MMD研究所調べ)
  • ビジネスに使うスマホは?
  • (図表1)勤め先で利用している携帯電話(MMD研究所調べ)
  • (図表2)勤め先で利用している携帯電話:会社規模別(MMD研究所調べ)
  • (図表3)社用携帯電話の契約キャリア(MMD研究所調べ)
  • (図表4)社用携帯電話の契約している端末(MMD研究所調べ)
  • (図表5)社用携帯電話に行っている管理(MMD研究所調べ)
  • (図表6)会社で利用する携帯電話の不満点(MMD研究所調べ)

社用携帯「個人と合わせて2台持つのが面倒」

   MMD研究所の調査(2024年1月18日~1月22日)は、20歳~69歳の大企業や中小企業の経営者・従業員2万人が対象だ。

   まず、勤め先で現在利用している携帯電話について聞くと(複数回答可)、「会社から支給された携帯電話」(社用携帯電話)は31.5%にとどまった。ほかに、「個人所有の携帯電話」(私用の電話番号)が23.3%、「個人所有の携帯電話」(会社用の電話番号)が5.3%となった【図表1】。

   また、携帯電話を何も支給されていないし、仕事に携帯電話を使っていない人も約半数の46.9%に達した。

   会社規模別にみると、「社用携帯電話」を利用しているのは大企業が43.4%、中小企業が25.0%と、大企業のほうが18.4%上回った。逆に、「個人所有の携帯電話」(私用の電話番号)は大企業が22.1%、中小企業が26.8%と、中小企業のほうが4.7%多かった【図表2】。

   「社用携帯電話」を契約している通信会社を聞くと、「docomo」(43.1%)が圧倒的に多く、次いで「SoftBank」(25.3%)、「au」(24.3%)となった。大手3社で9割以上(92.7%)を占め、楽天モバイルは2.1%に過ぎなかった【図表3】。

   興味深いのは、「社用携帯電話」を契約している端末だ。これについて聞くと、「iPhone」が57.1%と圧倒的だったが、「Android」(27.6%)の次に、いわゆるガラケー系の「フィーチャーフォン・ガラホ」(13.7%)が3位に入り、健在だったことだ【図表4】。まだ、ガラケー系がビジネスの場で使われているのだ。

   もっとも、社用携帯電話はモバイル端末からの情報漏洩などセキュリティ面の管理が重要になる。

   経営幹部層など500人を対象に、どんな管理を行なっているかを聞くと(複数回答可)、「IDやパスワードの把握」(27.4%)が最も多く、次いで「アプリのインストール状況の把握」(25.4%)、「使用容量の把握」(23.6%)と続いた。また、「特に管理していない」(21.8%)という人も2割以上いた【図表5】。

   ところで、仕事で使う携帯電話に関しては「使い勝手が悪い」という不満の声が少なくない。MMD研究所では2022年8月に「2022年法人向け携帯電話の利用実態」を発表。その中で社用携帯電話の利用者と、個人携帯を仕事に使っている人たちに不満点を聞いている(複数回答可)。

   【図表6】がその結果だ。

   これを見ると、社用携帯電話では「個人用携帯と合わせて2台の端末を持ち歩くのが面倒」という不満がダントツに多く、「丁寧に扱わないといけない」「利用方法のルールが厳しく、利便性が低い」と続いた。

   個人携帯で会社用の電話番号を使っている人からは「仕事とプライベートの切り替えがしにくい」、「料金が個人負担」と不満が上位に。そして、個人携帯で私用の電話番号を使っている人は「料金が個人負担」、「仕事とプライベートの切り替えがしにくい」という不満が多かった。

情報漏洩や紛失のセキュリティ管理が課題

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スマホを使うビジネスパーソン

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったMMD研究所の担当者の話を聞いた。

――社用携帯電話の利用が31.5%という数字。私は個人的には少ないな、という印象を受けますが、どう評価しますか。2022年8月調査よりは増えているのでしょうか。

担当者 2022年8月調査とは設問形式が異なるため単純な比較はできませんが、現在、携帯電話各社は一般向けスマホの販売が頭打ちになり、法人事業に注力している段階です。利用者は増えていると考えられます。

全体としては31.5%ですが、大企業では43.4%、中小企業では25.0%と、会社規模でかなり差があり、大企業では4割以上が導入しているため少ない数字ではないと思います。

――しかし、仕事で個人の携帯電話を使っている人が合計28.6%と、社用携帯電話(31.5%)とあまり変わりませんよね。

担当者 社用携帯の導入や管理にかかるコストを考えると、個人所有の携帯電話の社用利用を認めている場合が、特に中小企業に多いと考えられます。

――前回調査では、社用携帯電話に関する不満を詳しく調べています。「個人用と合わせて2台持ち歩くのが面倒」「ルールが厳しく利便性が低い」などの問題点が指摘されました。社用携帯電話の利用・普及が3割台前半にとどまっているのは、こういう理由が大きいのでしょうか。

担当者 社用携帯電話は会社で契約する必要がありますので、会社での導入やセキュリティ管理にかかるコストが大きなハードルです。また、社内でも社用携帯が必要な人と、そうではない人が分かれることが多く、社用携帯以外で業務を補っている場合もあり、普及率が大きく伸びていない原因だと考えられます。

――社用携帯電話のシェアは、docomo、SoftBank、auが圧倒していますが、その理由は何でしょうか。

担当者 社用携帯のメイン機能は通話です。そのため、3キャリアがガラケー時代から社用電話として通話割引などを営業展開した結果、圧倒的な寡占市場になっています。

ただ、新規参入の楽天モバイルや格安スマホ(MVNO)も法人事業には力を入れています。企業側もDXの一環として通話以外のスマホの業務利用も増えていますから、これからシェアは変動していくと考えられます。

社用携帯電話は、導入した場合に情報漏洩や紛失、個人利用などセキュリティリスク対策に向けた管理が行えるかどうかが大きな課題です。今回の調査でも「特に管理をしていない人」が2割以上いました。

楽天モバイルが今年1月末、導入後のモバイル・デバイス管理まで一元的に行えるMDM(Mobile Device Management)サービスの「SPPM」を提供開始しましたが、そうした新サービスが今後も普及していくのではないでしょうか。

ガラケー人気のワケ 安さと求める機能が通話のみだから

――社用携帯電話の機種で、iPhoneがダントツ、しかもiPhoneSEシリーズが圧倒的に人気なのはなぜでしょうか。
また、いわゆるガラケー(フィーチャーフォン)やガラホに根強い人気があることも驚きです。

担当者 社内で共通利用される端末であるため、OSを統一し情報共有などを同じアプリで操作しやすいiPhoneシリーズが選ばれる傾向にあります。社用携帯の導入で重視されるのはコストパフォーマンスです。iPhoneシリーズの中でも特に安価なSEシリーズが選ばれると考えられます。

ガラケーが依然として根強い人気があるのは、求める機能が通話のみであるケースが多いからでしょう。現在、最も安価な端末はガラケーですから、いまだに使われている場所も多いと思います。

――あなたは、仕事ではどんな携帯電話を使っていますか。使い勝手や問題点はいかがでしょうか。また、今後、社用携帯電話市場はどうなっていくでしょうか。

担当者 私は個人の携帯電話で、社用携帯番号(IP電話)を利用しています。業務では通話以外の用途が必要ないため、いつも使っている端末で対応する形で特に問題はありません。

今回の調査で社用携帯電話のシェアでは、大手3社が9割以上という寡占市場であることがわかりました。しかし、乗り換えを検討する理由の上位に料金が挙がっており、コストパフォーマンスを気にする人が多いため、今後は格安スマホを含めたシェア動向が注目されます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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