情報漏洩や紛失のセキュリティ管理が課題
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったMMD研究所の担当者の話を聞いた。
――社用携帯電話の利用が31.5%という数字。私は個人的には少ないな、という印象を受けますが、どう評価しますか。2022年8月調査よりは増えているのでしょうか。
担当者 2022年8月調査とは設問形式が異なるため単純な比較はできませんが、現在、携帯電話各社は一般向けスマホの販売が頭打ちになり、法人事業に注力している段階です。利用者は増えていると考えられます。
全体としては31.5%ですが、大企業では43.4%、中小企業では25.0%と、会社規模でかなり差があり、大企業では4割以上が導入しているため少ない数字ではないと思います。
――しかし、仕事で個人の携帯電話を使っている人が合計28.6%と、社用携帯電話(31.5%)とあまり変わりませんよね。
担当者 社用携帯の導入や管理にかかるコストを考えると、個人所有の携帯電話の社用利用を認めている場合が、特に中小企業に多いと考えられます。
――前回調査では、社用携帯電話に関する不満を詳しく調べています。「個人用と合わせて2台持ち歩くのが面倒」「ルールが厳しく利便性が低い」などの問題点が指摘されました。社用携帯電話の利用・普及が3割台前半にとどまっているのは、こういう理由が大きいのでしょうか。
担当者 社用携帯電話は会社で契約する必要がありますので、会社での導入やセキュリティ管理にかかるコストが大きなハードルです。また、社内でも社用携帯が必要な人と、そうではない人が分かれることが多く、社用携帯以外で業務を補っている場合もあり、普及率が大きく伸びていない原因だと考えられます。
――社用携帯電話のシェアは、docomo、SoftBank、auが圧倒していますが、その理由は何でしょうか。
担当者 社用携帯のメイン機能は通話です。そのため、3キャリアがガラケー時代から社用電話として通話割引などを営業展開した結果、圧倒的な寡占市場になっています。
ただ、新規参入の楽天モバイルや格安スマホ(MVNO)も法人事業には力を入れています。企業側もDXの一環として通話以外のスマホの業務利用も増えていますから、これからシェアは変動していくと考えられます。
社用携帯電話は、導入した場合に情報漏洩や紛失、個人利用などセキュリティリスク対策に向けた管理が行えるかどうかが大きな課題です。今回の調査でも「特に管理をしていない人」が2割以上いました。
楽天モバイルが今年1月末、導入後のモバイル・デバイス管理まで一元的に行えるMDM(Mobile Device Management)サービスの「SPPM」を提供開始しましたが、そうした新サービスが今後も普及していくのではないでしょうか。