「落選」の例外を設けず、ルールをシンプルに
――フリーコメントでも落選ねらいは賛否両論です。こうした問題を解決するには、ズバリどうしたらよいと思いますか。
川上敬太郎さん そもそも育休の2年取得自体に賛否両論があるため、誰からも不満が出ない解決策を出すのは難しそうです。ただ、落選狙いが起きている現行ルール自体は見直しが必要だと思います。
現状のままだと、育休延長したい人の落選ねらいはなくならず、その分、保育園に入りたい人は入りづらくなり、自治体はそのつど事務手続きや落選狙いをめぐるクレーム対応などに追われてしまいます。
落選したら延長できるという複雑な仕組みは改め、最初から2年まで育休取得できるようにするか。あるいは逆に、1年までとする、などルールをわかりやすくする必要があるのではないでしょうか。
――仕組みをシンプルにするということですね。
川上敬太郎さん ただ、問題なのはルールだけではありません。
潜在待機児童へのケアまで視野に入れた保育環境の整備や、育休取得者の女性偏重解消、子育てを通じて培われたソフトスキルに対する評価など、行政と家庭と企業それぞれのなかにある課題についても並行して取り組まないと、ルールを改めるだけで解決できるものではないのだと思います。
育休延長を選ぶ人も、保育園を選ぶ人も、どちらも選ばない人も、事情は人それぞれです。また、どの選択をしても課題があり、その内容もそれぞれです。
落選ねらいについてはルールの問題ですが、子育てをめぐる課題は支援環境の整備や性別役割分業、多様な働き方の選択肢など全方位的にまだまだ不十分。それだけに、総合的に対策を進めていく必要があるのではないでしょうか。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)