育児給付延長「保育園落選ねらい」ストップの厚労省方針 働くママ6割「ルールが問題」と反論 専門家が解説

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   育児給付の延長をあてこむ「保育園『落選ねらい』」が横行しているとして、厚生労働省が審査の厳格化の検討を始めたことが働くママたちにどよめきを与えている。

   働く主婦・主夫層のホンネ調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2024年2月6日に発表した緊急調査「保育園『落選狙い』って、どう思う?」によると、「保育園落選狙いは迷惑」とする声より、「落選しないと育休延長できないルールが問題」とする声のほうが上回った。

   問題の解決策を専門家に聞いた。

  • 保育園の送り迎え(写真はイメージ)
    保育園の送り迎え(写真はイメージ)
  • (図表1)育休を2年まで延長したいと思うか?(しゅふJOB総研作成)
    (図表1)育休を2年まで延長したいと思うか?(しゅふJOB総研作成)
  • (図表2)落選狙いが起きていることをどう思うか(しゅふJOB総研作成)
    (図表2)落選狙いが起きていることをどう思うか(しゅふJOB総研作成)
  • (図表3)落選狙いをどう思うか:2024年と2019年の比較(しゅふJOB総研作成)
    (図表3)落選狙いをどう思うか:2024年と2019年の比較(しゅふJOB総研作成)
  • 保育園の送り迎え(写真はイメージ)
  • (図表1)育休を2年まで延長したいと思うか?(しゅふJOB総研作成)
  • (図表2)落選狙いが起きていることをどう思うか(しゅふJOB総研作成)
  • (図表3)落選狙いをどう思うか:2024年と2019年の比較(しゅふJOB総研作成)

あえて倍率高い保育園を希望する目的

   働くママたちにショックを与えたのは、朝日新聞(2023年12月5日付)「保育園の『落選狙い』抑止へ 育休審査を厳格化、厚労省が検討」といった新聞各紙の報道だ。

   そもそも育児休業給付は原則1歳までだが、例外的に保育園に入れない場合などは最長2歳まで延長でき、賃金の50%まで支給される。保育園に落ちた際に自治体から受け取る「保留通知書」があれば、ハローワークで育休給付の延長申請ができる。

   報道によると、子どもを保育園に入れて復職する意思がないのに、育休給付を得るために、あえて倍率が高い保育園を希望する「落選ねらい」が各地で横行。本当の入園希望者が落選したり、自治体の業務が増えたりする問題が指摘されていた。

   このため、厚生労働省はハローワークで延長申請を受ける際、復職の意思をしっかり確認するなど、審査を厳格化する方針の検討に入ったというのだ。

   そうしたなかでおこなわれたのが、しゅふJOB総研の調査(2024年1月17日~24日)。就労意向のある主婦層589人が対象だ。

   まず、「育休をとるとしたら、2年まで延長したいと思うか」と聞くと、「保活の結果に関係なく思う」(35.0%)と「保活がうまくいかなければ思う」(27.3%)を合わせて、6割以上(62.3%)が「延長したい」と答えた【図表1】。

   そして、保育園の落選ねらいが起きていることに関して意見を聞くと(複数回答可)、「落選しなければ育休延長できないルールが問題」(64.3%)が最も多かった。ついで、「本当に保育園に入りたい人に迷惑をかけている」(37.5%)、「自治体が保育園を十分提供できていないことが問題」(31.93%)と続いた【図表2】。

   しゅふJOB総研では、同じ調査を5年前の2019年にも行っている。そこで、落選ねらいについてどう思うか、2024年と2019年を比較したのが【図表3】だ。

   これを見ると、「ルールが問題」とする意見が5年前より3.8%増える一方、「迷惑をかけている」とする意見も3.4%増えている。

   これは、落選ねらいを擁護する意見、批判する意見の双方が増えたかたちだ。また、「自治体が保育園を十分提供できていないことが問題」とする意見が、5年前より15.4%も減ったことが目立った。

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