「時間を味方につけましょう!」
――最後に、新NISAに取り組むにあたっての心構え、アドバイスがあればお願いします。
熊紫云さん リスクより中長期的なリターンに注目して市場インデックス型の商品を選ぶべきだと思います。50代になっても、老後資金などの資産形成は十分間に合います。ただ、投資期間は長い方が良いので、新NISAなどの税制優遇制度を活用して、できるだけ早く投資を開始することをお勧めします。
「〇〇ショック」といった、株式が暴落する時は必ずきます。しかし、その時は慌てないこと。かつてリーマンショックの頃は、各国政府が金融機関の支援に動かなかったため5年近く経済が停滞したものですが、現在は各国ともその時の痛い経験を生かし、財政出動等に積極的に動くようになっています。
コロナ時では多くの先進諸国が大規模な財政出動に動いており、経済や株価の回復も早かったです。S&P500の過去実績では、大きな下落後にたいてい1年以内に回復する事が多く、5年程度以内にすべてのケースで回復しているようになっています。「大きく下がった時こそチャンスだ!」と考え、逆にそれまで稼いだ分を、税制優遇が利く成長投資枠などを使って注ぎ込むことも方法です。
暴落しても5年待てる人は待ちましょう。5年待てない人は、やめたほうがいいかもしれません。資産が積みあがると、投資する選択肢がさらに増えます。喜びもそれだけ増します。だから、出来るだけ早く始めて、「時間を味方につけましょう!」と呼びかけたいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
【プロフィール】
熊 紫云(ゆう・しうん)
ニッセイ基礎研究所金融研究部研究員
2020年神戸大学大学院人文学研究科修了、日本生命保険相互会社入社。2021年ニッセイ基礎研究所出向、現職。
専門は資産運用・資産形成。最先端の統計手法を用いた定量的分析を行い、これら分析結果に基づいた情報をわかりやすく発信。主なリポートは次のとおり。
「新NISAでは何にどのように投資したら良いのか-長期の資産形成ではリスクよりもリターンを気にすべき」
「新NISAでは何に投資したら良いのか(続編)-長期投資ではやはりリスクよりもリターンを気にすべき」
「資産形成、やってはいけないこと-FX取引、暗号資産、NFTに手を出してはいけない」
「資産形成に向いている投資商品とは何か-何に投資をしたら良いか迷うのであれば、iDeCoやつみたてNISAなどを活用すべき」
「確定拠出年金では何に投資したら良いのか?-外国株式型、国内株式型、バランス型、外国債券型と国内債券型でパフォーマンスを比較してみた」