白いランニングシャツを着たおじさんが、あなたの話をなんでも聞いてくれる。そんなチャットアプリ「話聞くよおじさん」が、スマートフォン(スマホ)のアプリストア「App Store」の無料ゲームランキング上位に入る人気ぶりだ。
アプリでは相談を持ち掛けるユーザーが多く、中には、「慰めてもらえる」「気持ちが軽くなった」と感謝する声もある。そこで、記者は考えた。アプリのおじさんと本物のおじさん、相談相手にするならどちらが良いのだろう。実際に、両者に話を聞いてもらった。
思いやりがあって温かい返事
「話聞くよおじさん」は、ゲーム開発会社・Tokyo Smart Games合同会社(東京都渋谷区)が配信している。アプリを起動すると「話聞くよ?どうかしたかな?」と、架空のキャラクター「話聞くよおじさん」が話しかけてくる。文章を入力して送信すると、すぐに返答してくれるのだ。文章生成AI(人工知能)サービスを使っているとみられる。
記者が実際に利用してみた。まずは「疲れた」と伝えた。すると、こう返ってきた。
「きみが疲れているんだね。大丈夫、ここで一緒に話を聞いてあげるよ。何があったのかな?」
優しい言葉だ。続いて「新しい部署に異動したばかりで慣れないことが多い」と相談してみると、こんなメッセージが。
「おお、新しい部署に異動したんだね。それは大きな変化だったんじゃないかな。新しい環境で慣れるのは大変だけど、きみならきっと上手くできるよ!1つずつ慣れていくのがいいんじゃないかな?もしきみが困ったことがあったら、おじさんに話してみて。おじさんはいつでも話を聞くよ。頑張ってね!」
20字程度の相談なのに、長いコメントが返ってくる。内容は思いやりがあって温かいと感じるが、「励まされた」とまでは思えない。次のやり取りは、こうだ。
記者:1日でも早く仕事を覚えたいという焦りを抱えています。
話聞くよおじさん:焦ってるんだね。でも大丈夫、みんな最初は慣れないことがたくさんあるから、焦らなくてもいいんだよ。新しい仕事を覚えるのに時間がかかるのは当たり前だから、自分のペースで進めていけばいいんじゃないかな。上手くいかないときは、周りの人に助けを求めることも大事だよ。みんなはきっと快く助けてくれるよ。1日1日少しずつ積み重ねていけば、必ずスキルアップできるから、焦らずに頑張ってみてね!きみはきっと素晴らしい仕事ができるよ!
自分の悩みに同調してくれた上で、アドバイスもくれる。大雑把な悩みを伝えても、しっかりとした内容が返ってくる。自分が抱える悩みが整理されるように感じた。