「セリフが違うのではなくてキャラが違ってくるからです」
新條さんは失敗例を挙げつつ、キャラクターに説得力を持たせるための工夫を説明。その上で、「漫画家は一人のキャラが物語を紡ぎ始めるスタートラインに立つまで膨大な生い立ちを作り込んで、スタートラインに立たせます」。「生まれた家柄、両親の性格、子供の頃のエピソード どうかすると本一冊書けるほど用意する時もあります」という。
その上で、原作者が「セリフ一つにダメ出しをする」理由について「状況は全く違うことをわかってほしい」と強調した。
「『このキャラならこういうセリフを言うだろう』の許容範囲を逸脱し始めるとやはり、口出ししたくなります。セリフが違うのではなくてキャラが違ってくるからです」
メディア側との意見のすり合わせがうまくいかないと「『とにかく一言一句違わないで。そうすれば楽だから』ってことになる」「ここには『原作とちょっとでも変えたら許さない』という意志はない」と単なるこだわりではないと説明。
「クリエーターには尊敬の念と信頼があるので脚本家にもそういう気持ちで臨みます」としつつ、限られた時間の中での監修には限界があるとした。
「こういう『これは違う、これも違う』ということが続くと、『ああこの人は、うちの子の育て方が理解できないのだ。だったらマニュアル通りにやってくれれば間違いないって伝えよう』ってことになるのです。さらには『自分がやったほうが早い』と...」