ラーメン店の倒産最多で注目「1000円の壁」 それでも「1杯1000円以上」で繁盛する店はある

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   ラーメン1杯が1000円以上だと、客が高額だと感じて店から離れてしまう――。いわゆるラーメン業界の「1000円の壁」と呼ばれる問題が近年、複数メディアで報じられている。東京商工リサーチが2024年1月22日に発表した、2023年の「ラーメン店の倒産動向」調査でも、触れられたキーワードだ。

   ただし、例外もある。「博多ラーメンでぶちゃん」(東京都新宿区)の店主・甲斐康太さんは2月7日、「1000円を超えてもお客様を集めるには、特に何もする必要は無いと考えております」と、J-CASTニュースBiz編集部の取材に答えた。

  • 「博多ラーメンでぶちゃん」の博多ラーメン(甲斐康太さん提供)
    「博多ラーメンでぶちゃん」の博多ラーメン(甲斐康太さん提供)
  • 「博多ラーメンでぶちゃん」の店主・甲斐康太さん(本人提供)
    「博多ラーメンでぶちゃん」の店主・甲斐康太さん(本人提供)
  • 「博多ラーメンでぶちゃん」の博多ラーメン(甲斐康太さん提供)
  • 「博多ラーメンでぶちゃん」の店主・甲斐康太さん(本人提供)

2009年以降で倒産・休廃業が最多

   先述の東京商工リサーチの調査結果によると、2023年のラーメン店の倒産は45件、休廃業は29件だったという。いずれも09年以降では最多を記録した。

   発表資料では、ラーメン業界には「1000円の壁」が立ちはだかっていると指摘。価格設定の基準が不透明で、値上げが客離れを促す可能性もあり、小・零細規模のラーメン店は苦戦が続いていると説明している。

   一方で、1杯平均1300円で提供する「博多ラーメンでぶちゃん」は、食べログで評価の高い「TOP5000」にも選ばれている。店主の甲斐康太さんは、「1000円の壁」は存在するとの見解を示すが、1000円以上の価格設定については、

「令和の現代ではもう当たり前(の額)なので、あえてそのままで良いと思ってます」

と答えた。

離れていく客の売り上げは値上げ分でカバー出来る

   甲斐さんによると、1000円以上で設定しても繁盛している店は複数あるという。神奈川・本鵠沼の「うずとかみなり」や東京・祐天寺の「Ramen Break Beats」、東京・早稲田の「ラーメン巌哲」を例に挙げた。

   「1000円の壁」について、甲斐さんはこう主張する。

「1000円以上をラーメンに払えない層の人はいると思いますが、その層へのアプローチだけは、しない方がいい」

   値上げして、謝罪するのも良くないという。また、「離反するお客様の売り上げは値上げの分でカバー出来ると思います」とも。「1000円を超えたラーメン屋にしか見えない景色なので、実感してもらうしかないのですが、売り上げは下がりません」と断言した。

「売価を上げると、会社に残るお金が増えます。その分を人に投資するとお店のサービスクオリティーが上がります。そうするとお客様も増えて、プラスの連鎖が生まれます」

   甲斐さんは、税抜価格で1000円以上に設定する重要性も訴える。「博多ラーメンでぶちゃん」では、看板メニューの博多ラーメンを税込1100円で提供しており、「これが本来の意味で1000円の壁超えなのです」。

   2023年10月1日から始まったインボイス(適格請求書)制度で、事業者は今まで以上に消費税について意識せざるを得ない状況にある。ラーメンを「税込1000円」で提供したとしても、実際には1000円を超えない。

   甲斐さんは「『低品質、高価格』なラーメンが一定数存在する現実もあります」と認めながらも、「『高品質、適正価格』なラーメンを提案する」姿勢だ。これに納得する客が増えたとき、時代が変わると語った。

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