離れていく客の売り上げは値上げ分でカバー出来る
甲斐さんによると、1000円以上で設定しても繁盛している店は複数あるという。神奈川・本鵠沼の「うずとかみなり」や東京・祐天寺の「Ramen Break Beats」、東京・早稲田の「ラーメン巌哲」を例に挙げた。
「1000円の壁」について、甲斐さんはこう主張する。
「1000円以上をラーメンに払えない層の人はいると思いますが、その層へのアプローチだけは、しない方がいい」
値上げして、謝罪するのも良くないという。また、「離反するお客様の売り上げは値上げの分でカバー出来ると思います」とも。「1000円を超えたラーメン屋にしか見えない景色なので、実感してもらうしかないのですが、売り上げは下がりません」と断言した。
「売価を上げると、会社に残るお金が増えます。その分を人に投資するとお店のサービスクオリティーが上がります。そうするとお客様も増えて、プラスの連鎖が生まれます」
甲斐さんは、税抜価格で1000円以上に設定する重要性も訴える。「博多ラーメンでぶちゃん」では、看板メニューの博多ラーメンを税込1100円で提供しており、「これが本来の意味で1000円の壁超えなのです」。
2023年10月1日から始まったインボイス(適格請求書)制度で、事業者は今まで以上に消費税について意識せざるを得ない状況にある。ラーメンを「税込1000円」で提供したとしても、実際には1000円を超えない。
甲斐さんは「『低品質、高価格』なラーメンが一定数存在する現実もあります」と認めながらも、「『高品質、適正価格』なラーメンを提案する」姿勢だ。これに納得する客が増えたとき、時代が変わると語った。