回転ずしチェーン店で、客が迷惑行為を働いたいわゆる「寿司(すし)テロ」が、1年ほど前に騒ぎとなった。2024年初めも、飲食店でのこうしたトラブルが目白押しだ。
1月、北海道釧路市の「ラーメン山岡家」において、水が入ったピッチャーのフタを20歳の男がなめるような様子を撮影した動画がSNSで拡散。2月に入ると埼玉県伊奈町の「しゃぶ葉」や栃木県宇都宮市の「しんぱち食堂」で、従業員による迷惑行為が相次いで発生した。もはや、完全には防げないとしたら、可能な限りリスクを減らすにはどうしたらよいだろう。
商品パッケージに啓蒙メッセージを掲示
「迷惑行為のSNSでの拡散」は、10年以上前から起きている。2013年7月、コンビニ店員がアイスの冷凍庫に侵入する姿がX(ツイッター)で拡散された例をはじめ、「バカッター」「バカスタグラム」と呼ばれる現象は、その後も枚挙にいとまがない。
コンビニや回転ずしをはじめとする飲食店など、「食品を売る店」で発生する迷惑行為への対処法を、レイザー株式会社代表取締役で危機管理の専門家・大杉春子氏に聞いた。
編集部は、迷惑行為が「起こるものだ」と想定。その事前対策を質問した。大杉氏は、「従業員教育の強化」「監視システムの導入」「危機発生時のマニュアル作り」を挙げる。並行して、「注意書き」も重要だと語る。具体的に、店内に注意書きを掲示するのはもちろん、
「商品のパッケージに、食品を扱う上でのルールやマナーを啓蒙するメッセージを掲示します」
と話した。例えば、回転ずしの皿やしょうゆ差しに「一度手にした商品をレーンに戻さないでください」「しょうゆ差しに口をつけてはいけません」といった注意喚起をする。
ここまでして、客やアルバイトによる迷惑行為が起きてしまったら――。大杉氏は、運営側がただ謝罪するだけでなく、積極的な情報開示を勧めた。これを、企業のイメージを上げる機会として受け止めるという「攻めのスタンス」だ。同氏は、「最適解」と断言することは出来ないものの、「一つの戦略となり得ます」と語った。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)