回転ずし店でしょうゆ差しをペロペロ、レーンを回って来たすしネタを、つばをつけた指でベトベト――。こうした迷惑行為、いわゆる「寿司(すし)テロ」問題がクローズアップされてから、1年ほどが経過した。
大手回転ずしチェーンのくら寿司、はま寿司、スシローは、どこも手間をかけて対策を講じてきた。それぞれ、成果につながってきただろうか。3社を取材した。
回転レーンは今後も継続
くら寿司の広報は、寿司カバーの不審な開閉を感知して知らせるAIカメラシステムを2023年3月2日、全店で導入したと説明。また、客が入れ替わるごとにテーブル上の備品を回収し、清掃済みのものと入れ替える取り組みも全店で実施している。
広報は「現状、大きなトラブルなく、運営できています」と話す。防止策を講じたなどの理由から、回転レーン上での提供は全店で継続している。
「回転ずしの魅力は、何が流れてくるかのワクワク感など、エンタメ性にもつながる回転レーンにあると考えており、インバウンドや海外の店舗での人気の理由でもあるとみています」
と述べた。回転レーンは今後も続けるという。
あきんどスシローの親会社・FOOD & LIFE COMPANIESは、客から注文を受けた商品のみをレーンから提供している。また、スタッフに要望すればテーブルの食器や調味料を直接席まで持ってきてくれるという。
防止策を講じた結果、利用客が少しでも安心できる環境を作れたと振り返る。回転レーンの今後については、「あらゆる可能性を含めて検討しておりますが、今後の回転レーンの方針について決定していることはございません」と回答した。
要望あれば「卓上セット全交換」
はま寿司広報の説明は、こうだ。
「既存のガリのケースに加え卓上での小袋の常備、また、お客様からご要望をいただいた場合は、ガリやしょうゆボトルなどの卓上のセットを全て交換させていただくなどのオペレーション変更がございます」
できたての商品を素早く提供するため、「ストレートレーン」を2016年から導入してきた同社。すでに90%以上の店舗で導入が完了しており、導入前の店舗では、注文を受けた商品のみがレーンを流れているという。