結婚相談所の倒産最多も...マッチングアプリに勝つには今がチャンス やるべきは「真剣な出会い」求める若者に「保証」貫け

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   近年、マッチングアプリが新婚カップル「出会いのきっかけ」ナンバーワンに踊り出るなか、結婚相談所の苦戦が続いている。

   東京データバンクが2024年2月6日に発表した「『結婚相談所』の倒産・休廃業解散動向」によると、2023年に発生した結婚相談所の倒産は11件と、過去最多を記録した。

   結婚相談所に未来はないのか。調査担当者に聞くと、アプリに対する「リアル出会い」の逆襲が始まりそうだ。

  • 幸せな結婚をしたい(写真はイメージ)
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  • (図表1)「結婚相談所」の倒産・解散の推移(帝国データバンク調べ)
    (図表1)「結婚相談所」の倒産・解散の推移(帝国データバンク調べ)
  • (図表2)「マッチングアプリ」、結婚夫婦の4人に1人が利用(明治安田生命のアンケートをもとに帝国データバンクが作成)
    (図表2)「マッチングアプリ」、結婚夫婦の4人に1人が利用(明治安田生命のアンケートをもとに帝国データバンクが作成)
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  • (図表1)「結婚相談所」の倒産・解散の推移(帝国データバンク調べ)
  • (図表2)「マッチングアプリ」、結婚夫婦の4人に1人が利用(明治安田生命のアンケートをもとに帝国データバンクが作成)

新婚夫婦の出会い1位「マッチングアプリ」

   帝国データバンクの調査によると、結婚相手を紹介する「結婚相談所」の倒産は、2023年には合計11件発生した。休廃業・解散となった11件も過去最多の水準となり、倒産と合わせて年間20を超える結婚相談所が市場からの退出を余儀なくされた【図表1】。

   結婚相談所にとって、少子高齢化や晩婚化など若者の多様なライフスタイルの定着に加え、スマホで結婚相手を探す「マッチングアプリ」の拡大が大きな脅威となっている。

   明治安田生命が昨年(2023年)11月に発表した「いい夫婦の日調査」によると、1年以内に結婚した夫婦のうち4人に1人(25%)が、「出会いのきっかけ」として「マッチングアプリ」をあげた。これは、「職場の同僚・先輩・後輩」(25%)と同率1位だった【図表2】。

   帝国データバンクでは、結婚相談所の倒産が過去最多になった背景として、マッチングアプリの影響に加えて、

(1)結婚相談所でもオンラインで面談の活用や、婚活パーティーなどのリアルイベント企画を積極的に行っているが、イベントの告知などで多額の広告費が必要になっている。
(2)結婚相談所が提供する基本的なサービス内容は、他社との差別化がしづらく、入会金や登録料などで価格競争が発生しやすい。

   などの理由をあげている。

PCと電話があれば、「結婚相談所」開業は超簡単

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんに話を聞いた。

――結婚相談所は、コストがかからず、開業のハードルが非常に低いビジネスだと聞きます。特に資格は必要ないし、パソコンと電話さえあれば事務所も必要ない。会員と面談する必要がある時は、喫茶店で会えば済む。だから、副業から始める人が多いと聞きます。

ただ、全国にいくつかある結婚相談所連盟や結婚相談所協会などに加盟する必要がある。そうすると、利用者のデータベースにアクセスできるようになり、自分の会員にマッチした相手が見つけやすくなる。この連盟や協会に加盟する費用が、初期費用の大きな部分を占めるそうです。

飯島大介さん そのとおりです。とにかく、仕事が非常にシンプルです。
結婚を望む会員に、いい感じの人を紹介すること。その1点に尽きます。特別、難易度が高いことはありません。ただ、会員に相手をいつまでも探せないでいると、会員が離れてしまいます。

とても参入しやすい分、退出も簡単だから、入れ替わりが激しい業界です。当社が把握している結婚相談所は全国で約200社。法人のところもあれば、個人事業のところもあります。

そのため、個人事業が非常に多いので、把握し切れていない面があります。また、本業以外の「副業」でやっているところもあり、事業形態はさまざまです。

たとえば、「ゼクシィ」(リクルートゼクシィなび、東京都千代田区)といえば、結婚相談のビッグ企業というイメージがありますが、当社の業種分類では、本業は分厚い結婚情報誌「ゼクシィ」を出している「出版業」で、「結婚相談関係」は副業ということになります。

――結婚相談所の倒産が過去最多になったのは、やはり、マッチングアプリの利用者が増えたことが大きいですか。マッチングアプリの国内最大手「Pairs」(ペアーズ)のウェブサイトをみると、「累計登録会員数が2000万人突破!」とあります。

飯島大介さん スゴイ数ですよね(笑)。たしかに、マッチングアプリの広がりも大きいですが、そもそも若者人口全体が減っているし、「結婚したいとは思わない」という若者も増えています。

結婚希望の若者だって、「結婚相談所の門を叩くのが面倒なので、とりあえず、アプリで探してみる」などと、若者の選択肢は増えた面も大きいでしょう。

意外と多い? もうアプリはこりごり、飽きたという若者も

――結婚相談所の中にも「30代女性限定」とか「40代以上男性のアフターフォロー徹底」とか、ターゲットを絞る動きが出ていますね。

飯島大介さん 「ハイクラスの会員限定」とか「地方への移住者限定」とか、さまざまな差別化の動きが出ていると聞きますが、なかなか難しいと思います。というのは、どの結婚相談所も目指すゴールが同じだからです。

「相手を探す」そして「うまく結婚に導く」――。求められるものは、それがすべてで、それ以上はありません。その結果が出ていないのに、「恋人を見つけるサービスをおまけにつけます」などと、付加価値を強調しても全く意味はありません。

――すると、結婚相談所の未来はお先真っ暗、ということでしょうか。

飯島大介さん いえ、現在、結婚相談所に追い風が吹き始めつつあります。マッチングアプリが興隆を極めたのは、コロナ禍によって対面で会うことが難しくなっていた面もあります。

しかしその後、アプリのさまざまな問題点が明らかになりました。写真の加工やサクラの存在、結婚詐欺師や投資詐欺師が紛れ込むなど。もうアプリはこりごり、飽きたという若者が大勢います。

それゆえ、真剣な出会いを求めるニーズが急増しています。結婚相談所のメリットが今、見直されているのです。それは、会員たちの身元が確かだという信頼性の高さです。いつわりのない写真、太鼓判を押せる履歴を武器に、アプリから流出した「結婚への意欲が高い」若者たちを獲得することが今後のカギになります。

愚直に「保証」を旗頭に掲げ、ぜひ、頑張ってもらいたいですね。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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